年末から年始にかけて高校、中学のバスケットボール全国選手権を取材した。

日本一を目指す大会だが、取材した選手たちの中には、日本代表になるために、バスケットの世界最高峰NBAでプレーするためにと、高い意識を持って大会に臨んでいるものも多くいた。

中学バスケの指導者の中には「日本一も成長の1つの過程。ボクらは、プロになるためにこの世代で必要なことを指導している。日本一になったからといってプロになれるわけではないので」と話す、Bリーグ下部組織や町クラブの指導者がいた。

サッカーのJリーグができてから、多くのスポーツが日本国内から世界に目を向けるようになった。サッカーでは多くの選手が海外でプレーし、海外組だけで日本代表が編成できるまでになった。バスケットもまだNBAプレーヤーは八村塁(ウィザーズ)渡辺雄太(ラプターズ)の2人だけだが、多くの若者がNBAを目指してプレーしており、3人目、4人目が生まれるのも時間の問題だろう。

ゴルフ界も、世界基準を合言葉に、日本ゴルフ協会がプロになる前のユース年代を中心に強化を進めてきた。オーストラリア人のガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチを招き、データや器具を駆使した世界基準の練習で、マスターズ優勝の松山英樹や、東京五輪銀メダルの稲見萌寧、米女子ツアーで活躍する畑岡奈紗らを育成してきた。

ジョーンズ氏の教えは、試合前の準備の大切さと、常に世界基準に照らして行動すること。目の前の勝利のためではなく、はるか上の目標のために、今自分が何をやるべきか。そうやって育ってきた若い選手たちが、プロの世界に飛び込み、さらに上を目指して世界(米ツアー)に出て行く。

男子でも女子でも、取材をしていると、プロテスト合格したばかりや、1年目、2年目の選手の多くが米ツアーを口にする。ゴルフもサッカーやバスケットと同じように、世界が確実に近くなってきた。

今年の米女子ツアーには、ファイナルQTを勝ち上がって、渋野日向子(23=サントリー)とジョーンズ氏の教え子でもある古江彩佳(21=富士通)が参戦する。渋野は19年に全英女子オープンに優勝したが、あえて米ツアー出場の権利を行使せず、力をつけて予選会からの挑戦を選んだ。

渋野、古江に加え、この年代で米ツアーの先陣を切った畑岡奈紗(22=アビームコンサルティング)や昨年の全米女子オープンで初優勝を飾った笹生優花(20=ICTSI)がいる。いずれも志を持って、世界に挑戦する選手たちだ。今年は誰がメジャー優勝を成し遂げるのか、そんな楽しみを持って見守りたい。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

稲見萌寧(2021年12月12日撮影)
稲見萌寧(2021年12月12日撮影)
松山英樹(2021年10月24日撮影) 
松山英樹(2021年10月24日撮影)