勝みなみ(23=明治安田生命)は涙が止まらなかった。先日、行われた所属先の契約発表会見。勝ら3選手の幼いころの写真が次々と場内スクリーンに映し出された。家族写真もあった。別の選手の幼少期紹介から始まったが、勝は冒頭からもらい泣きしていた。

ゴルフを始めたのは6歳。ゴルフ好きの祖父に連れられ、ゴルフ場に行ったことがきっかけだった。「父も母も公務員。ゴルフをさせてもらえるようなお金持ちではなかったのですが、両親はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃんのおかげで、ここまで支えてもらって。振り返ると、いろんな思い出がよみがえってきて」。さらに「昔の写真を見て振り返ることはないじゃないですか。写真を撮っていたことも忘れていました」と照れる場面もあった。

「ゴルフ好きのおじいちゃん」「練習の送迎をしてくれたおばあちゃん」とテロップが流れただけでも、こちらも思わずグッときてしまった。本人が家族の支えをあらためて感じ、涙するのは当然だと思う。

これまで笑顔の印象が強かった。プロ転向後、試合で泣いた姿をほとんど見たことがない。昨年10月に降雨によるコンディション不良で、古江彩佳と3ホールのプレーオフを実施。惜しくも敗れた。2ホール目で古江がバーディーを取った。「あきらめがつくというか、あの場面であそこにつけられるのはすごい」。相手を心からたたえるすがすがしい態度と表情が印象に残っている。昨年1月のインタビューでも、21年の目標を「楽しく笑顔で、をベースに、できるだけ多く優勝したい」と話していた。

会見終了後に感極まった心境を振り返った。

「じーちゃん、ばーちゃん子だったのを思い出したというか。練習が終わると、おばあちゃんとご飯を一緒に食べて、犬と遊んで。夜8時くらいに帰ってたのかな。また次の日に行っての繰り返し。ゴルフをがむしゃらに頑張っていたころを思い出しました」

情景が浮かぶ。地元で家族に支えられ、地道に努力していた日々。あらためて真っすぐな心と家族への感謝を強く感じた。実直な人柄がにじんだ涙だった。【近藤由美子】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

明治安田生命の永島取締役代表執行役社長(左)と笑顔でポーズを決める勝みなみ(2021年1月21日撮影)
明治安田生命の永島取締役代表執行役社長(左)と笑顔でポーズを決める勝みなみ(2021年1月21日撮影)