効果抜群! 中毒になりそうなゴルファー続出とうわさの「タケ小山のゴルフ即効薬~今週の処方箋」。あなたの街のプロゴルファー、タケ小山(53)が好評連載中です。今回のテーマは「バンカー。この深淵(しんえん)なる世界」。さあ、バンカーマニアになっちゃいましょう。


理屈だけは知っておこう

エクスプロージョンでピタリと寄せちゃおう
エクスプロージョンでピタリと寄せちゃおう

 前回、前々回もバンカーについてお話ししましたが、今週はさらにディープに掘り下げたいと思います。その前にちょっとだけおさらいです。バンカーはハザード。覚えてますか? そう。ペナライズ(罰する)されて当然なのだから打ててラッキーだという大前提を忘れないことです。その上でたくさん経験を積むこと。これに勝る対処法はありません。残念ながら日本ではバンカーの練習ができる場所が少ないのですが、なんとか探していろいろ試してみてください。砂質によってどういう現象が起きるかが自然に分かるようになってきますよ。そうすればしめたものです。

 以前、お話ししたボールの手前の砂をダフらせるようにする打ち方は、エクスプロージョンショット。エクスプロージョンって“爆発”という意味なのです。ホラ、砂が爆発するみたいに散るでしょう。フェースを開いてバンスを利かせて打つ。打ちやすい砂質で距離もほどよければ、エクスプロージョンでピタリと寄る。比較的易しいバンカーショットというわけです。

 ところが、全部が全部、エクスプロージョンショットで対応できるわけではもちろんありません。距離のあるバンカーショットになると、エクスプロージョンショットでは距離が出ないので届かないからです。ボールをクリーンに打っているように見えるほど薄く砂を取る技術があるのです。


できるかどうかは別にして?理屈だけは知っておこう
できるかどうかは別にして?理屈だけは知っておこう

 「プロみたいにバンカーからもキュキュッとスピンの利いた球を打ってみたい」という身の程知らずなアナタ。できるかどうかは別にして、理屈だけはわかっておいたほうがいいでしょう。実は、プロでも必ず、スピンをかけているわけじゃないんです。フェースとボールの間に砂がかんでしまうと摩擦が少なく、スピンはかかりません。砂が細かく、ボールが沈みやすいとこうなりやすい。逆に砂の粒子が粗い時にはクラブが滑りやすく、スピンがかかりやすいというわけです。

 フェースとボールがくっついているとスピンがかかりやすい。ソールが平らでバンスがないサンドウエッジならこういう状態になるのでスピンが入り、キュッと止まるということです。

 でも、基本は忘れないでくださいね、バンカーはハザード。調子に乗って欲をかきすぎて痛い目に遭わないようにしましょう。

ところ変われば砂変わる
ところ変われば砂変わる

今週の処方箋

ところ変われば砂変わる

 【服用法】砂質によって、距離によって、バンカーの打ち方は変わってきます。当たり前のことではあるのですが、基本を踏まえた上で状況を見極めて打ち方を考える。これが本当に大切なんです。


 ◆タケ小山(こやま)本名小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。


◆協力 ザ・インペリアルCC(茨城県稲敷市)

◆取材・構成 遠藤淳子

◆撮影 山崎安昭