別れがあれば出会いもある春、3月。進学や就職、異動などさまざまな事情で、家族の形も変化するのはよくあること。結婚などで“他人”が入ってもやがて家族になっていきますが、合わないときは合わない。ゴルフバッグの中でも、そんなことはよく起こります。合わない“他人”を入れてはトラブルのもとなんです。毎週火曜日恒例、タケ小山のゴルフ即効薬、今週は「バッグに“他人”が入っていてはうまくいかない」。よ~く読んで下さい。


フェアウエーウッドやユーティリティーを「気に入った」で入れる時…よく考えよう
フェアウエーウッドやユーティリティーを「気に入った」で入れる時…よく考えよう

 新しいクラブを手に入れるとうれしいものです。誰かのクラブを打たせてもらって気に入ったり、掘り出し物を見つけたり、悩んだ末にクラブを替えたりと、理由はさまざま。でも、ちょっと待って。その1本、他のクラブと仲良くできますか? 先月「スコアは買える!」と、クラブ購入をお勧めしましたが、この時、考えなければならないのが、他のクラブとのマッチングなんです。

 パターとドライバーのマッチングなんて、考えたこともない人、多いと思います。でもね、あるんですよ。これが。クラブの性質が似ていないと、プレーがおかしくなってきてしまうんです。

 勝手に仕事をしてくれるクラブは、同様な性質を持つモノと仲良くなれる。操作性の高いクラブでも同じことが言えます。前者は慣性モーメントが大きく、勝手にフェースターンをしてくれるドライバーや、フェースバランスのパター。つまり、オデッセイの2ボールやスパイダーのように、シャフトの軸線上に重心があるモノです。どちらも、クラブがいい仕事をします。

 後者、つまりヘッドのあまり大きくない操作性の高いドライバーと“家族”になれるのは、シャフトを支点にバランスを取るとフェースが斜め上を向くノンフェースバランスのパター。ピン型、L字型を始めとするものです。実はマレットでもノンフェースバランスのものが多いのですけどね。ドライバーとパター。打ち方も全く違うようですが、動きの基本は同じ。つながりがあったほうがいいに決まっています。

 アイアンについても同様です。やってはいけないのは、性格の違うアイアンを同居させること。ロングアイアンだけ違う種類のクラブを入れたりすることがよくありますが、マッスルバックとキャビティバックを混在させたりするのはやめたほうがいい。ゴルフバッグという“家”の中で浮いてしまうクラブが出るからです。

 フェアウエーウッドやユーティリティーを「気に入ったから」と、ポンと1本入れるときもよく考えましょう。同じ流れをくむ14本の“家族”を上手に使って、楽しくプレーしてください。


ドライバーもパターもフェースバランスや重心位置につながりを
ドライバーもパターもフェースバランスや重心位置につながりを

今週の処方箋

クラブも家庭も団らんが大事!

【服用法】 本当の家族は性格が違う方がうまくいくこともある。でも、いきなり“毛色”の全く違う人を「結婚相手だ」と言って連れてきても、なかなかうまくいかないでしょう? ゴルフクラブも同じ。流れが大事なんです。


 ◆タケ小山(こやま)本名・小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。


◆協力 越谷ゴルフクラブ(埼玉県吉川市)

◆取材・構成 遠藤淳子(清流舎)

◆撮影 山崎安昭