石川遼(18=パナソニック)が、ソフトバンク孫正義社長(52)の「金言」を、初の日本タイトル獲得の原動力にする。今季国内メジャー第2戦の日本ツアー選手権シティ杯宍戸は3日、茨城・宍戸ヒルズCC(7349ヤード、パー71)で開幕する。1日のプロアマ戦で石川は孫社長とラウンド。世界的な企業家の「遠回りはするな」の言葉にを胸に刻み込んだ。5月の今季メジャー初戦日本プロではプロ初のOB3発で3年連続の予選落ち。今大会もメジャーの厳しいコース設定だが、真っ向勝負を貫く。

 日本を代表する実業家の言葉が胸に響いた。ソフトバンク孫社長と同組のプロアマ戦。石川はラウンド中に2年半前のプロ転向時の心境を聞かれた。反対が多い中で、プロの道を決断したことを明かすと、「人生は1度きりだから、遠回りはしない方がいい」とアドバイスされた。

 孫社長は福岡・久留米大付高を中退し、16歳で単身米国に渡った。19歳で事業家になることを決意し「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を最低で1000億円ため、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、60代で後継者に引き継ぐ」と大目標を立てた。その夢に挑み続け、現在はその理想に近づきつつある。

 石川自身のモットーも「急がば回るな」。オフィシャルブログのタイトルにもしている。「(孫社長の言葉は)急がば回るなに近いと思った。経済、経営のことはわからないが、孫さんは仕事でそうしてきたのかなと思った」。困難や危険も構わず、今あるチャンスに真っ向から挑む。自らのゴルフ人生とも重なった。

 プロ3年目。最年少賞金王、スコア58のギネス記録など数々の記録を重ねてきたが、日本タイトルは無縁。今季メジャー初戦の日本プロはOB3発で3年連続予選落ち。今大会も08年予選落ち、09年50位と低迷し、1度もアンダーパーのラウンドがないなど相性は良くない。特に10年は9番ホールの距離が23ヤード延長され、18ホール中9ホールが池絡みと、メジャー流の厳しいコースが待ち受けている。

 技術、精神力が問われる国内メジャー。少しでも弱気の虫が頭をもたげたら、スコアは崩れるが、ピンチの時は孫社長の言葉が支えになる。「自分はゴルフが仕事ですから、アグレッシブに攻めていくと、あらためて思った」。孫社長の金言をむだにするつもりはない。