今季限りでの現役引退を表明している女子ゴルフの宮里藍(32=サントリー)が21日(日本時間22日)、約2カ月ぶりとなる米ツアー、アーカンソー選手権(23日開幕、アーカンソー州ロジャーズ・ピナクルCC)に向けた公式会見に臨んだ。

 全て英語で行われた会見で、あらためて引退の理由などを米メディアに語った。

 一問一答は以下の通り。

 -日本から来た最初の年はどうでしたか

 宮里 最初の年は、すごく面白かったです。アメリカでプレーするのは私の大きな夢だったし、何も怖いものもなかったし、新しい経験を熱望していました。ルーキーイヤーにはとてもいい思い出があります。成績はよくありませんでした。最初の年には勝てなかった。それでも、今振り返ってみると、笑みが浮かびます。英語を学ぶことも他の選手とコミュニケーションを取ることも、とても大変だったけれど、でも楽しかった。完璧な英語が話せなくても、選手たちといることはすごく楽しかった。1年目には、たくさんの思い出があります。

 -リディア・コについて

 宮里 私が説明するまでもなく、彼女は素晴らしい人、素晴らしい選手。全英でまだ彼女がアマチュアだった時に一緒にプレーをしました。まだ14歳だった彼女のゴルフにショックを受けました。すごいプレーでした。悪天候だったから、これはすごい選手になると思いました。私からは、世界ランク1位をとても楽しんでいるように見えました。とても上手に向き合っていたと思います。

 -05年の予選会の思い出は

 宮里 おー、それは日本からのメディアの数です(笑い)。100人近くが私を取り囲んでいました。生放送じゃなかったはず。でも生放送にしようとしていて、でもプレーしているのは私だけじゃなくて、他の100人もの選手がツアーカードを目指してプレーしているので、他の選手が心配になりました。ホントにクレイジー! でも私にとっては、メディアから注目されるのはいいことです。それが私にとって唯一、ファンとつながることになるわけですから。クレイジーだったけど、楽しかったです。

 -大きな期待の中、12打差でトップ通過

 宮里 でも、ポーラ(クリーマー)から予選会の前にアドバイスをもらっていた。彼女は数回日本でプレーしていましたから、話す機会があったんです。普通の試合のようにプレーするように、普通の試合のように勝ちにいくようにって。(フル参戦の権利を得られる)20位に入ろうと考えないようにって。5日間大会だと思ってプレーして、それはとても大きなアドバイスでした。

 -来週はメジャー(全米女子プロ)ですが、それに向けて今週はどれくらい重要ですか

 宮里 とても大きいです。昨日練習ラウンドをして今日はプロアマを回りましたが、コースは素晴らしいし、とてもよく準備されている。だから、来週もいいプレーができると、とてもやる気になっています。

 -日本ツアーで何勝もしてから米ツアーに来て、最初に勝つまで少し時間がかかりました。慣れるのには何が一番大変でしたか

 宮里 人によると思いますが、私にとっては言葉、トラベル、時差、でしょうか。日本でプレーをしていたのとは、まるで違いました。日本はほとんど3日間大会だし、トラベルも簡単です。ゴルフバックを次の試合にすぐに送ることもできるし、荷物の心配をする必要もない。でもここは常に荷物の心配をして、月曜にクラブが届くことを祈って。他にもたくさん慣れるのに調整が必要で。それは私が思った以上に時間がかかりました。だけど、そんなに長くは感じなかった。4年。その4年間にはたくさんのことを学んで。それはとても価値のあることだったと思います。

 -アニカ・ソレンスタムやロレーナ・オチョアという若いうちに引退した選手の仲間入りをしました。彼女たちと何か話しましたか

 宮里 アニカやロレーナとは違います(笑い)。彼女たちはレジェンドです。比べることなんてできない。私にとって2人はアイドルです。でも彼女たちが今やっていることから、私はたくさん学べると思います。ロレーナとは連絡をとり合っていますし、これからたくさん話すと思います。彼女たちはメキシコ、アメリカのゴルフに恩返しをしている。それが私が引退後にしたいことなので、これからも彼女たちから学ぶと思います。

 -あなたにとって世界ランク1位になったことの意味は

 宮里 すごくいい質問だと思います。私は世界ランク1位になれるとは思っていませんでした。1試合ずつベストを尽くして。自分のベストでいたかったから、とにかく一生懸命でした。そして、それが楽しくもあり、情熱でもあって、ゲームが本当に好きだった。一生懸命やっていたら、突然、世界ランク1位になったんです。決して、それを目標にしていたわけじゃないです。起こった、そういう感じです。ベストを尽くしていて、ずっと諦めることなく続けていれば、起こること。世界ランク1位という意味は、もしかしたら何の意味もないのかもしれない。世界ランク1位になるまでのプロセスが、実際に1位になることよりも重要だと思います。

 -キャリアで一番の思い出は。エビアンでの初優勝は大きな目標だったと思いますが、何か大事な思い出はありますか

 宮里 エビアンはもちろん、とても大きな初優勝でした。4年もかかりました。とても大きな達成だった。でも、今振り返るとゴルフコース以外の思い出が大きいかもしれません。ルーキーの年にクリスティーナ、ジェニファー・ロザレスが食事に誘ってくれて、英語が話せないから辞書をもって出かけました。そういうことがとても良い思い出です。9勝して、どれか1つを選ぶのは無理です。普通のことがとてもいい思い出です。

 -モチベーションがなくなったと言いましたが、その一番の要因は

 宮里 自分に厳しすぎたと思います。2010年に世界ランク1位になって、4年連続で勝利して。2012年が最後の勝利で。ここでの勝利が最後です。でも、それが自分のキャリアのピークだと感じた。自信はあったけれど、メジャーでは勝てなかった。なぜメジャーに勝てないのかと自分で苦しんでしまった。メジャーで勝つことは私の大きな目標の1つでした。だからもっともっと、練習を続けないと、と自分に言い聞かせた。自分にプレッシャーをかけてしまったんです。そして、自分がどこに向かっているのか分からなくなった。私は十分じゃない。そして間違った方向へ行ってしまったのだと思う。そして突然、モチベーションを失ってしまった。自分がどこへ行くのか、何をしたらいいのかわからなくなって、そこで苦しんでいました。