ツアー参戦2年目の三ケ島かな(20=ランテック)が通算14アンダー、202で2位に浮上した。9アンダーの4位から出て7バーディー、2ボギーの67で回り、首位と1打差につけた。1月に会社を退職し、キャディー専念となった父直(すなお)さん(46)とのコンビで、ツアー初優勝を射程にとらえた。鈴木愛(24)が15アンダーで首位。大会3連覇を狙うイ・ボミ(28)が5位に浮上した。

 尻上がりに調子を戻した。朝練習から緊張し、ボギー発進だった三ケ島は、同じ九州出身の先輩・上田桃子の「焦っている時はゆっくり歩く」との秘訣(ひけつ)を思い出した。遅めにルーティンの動作に入り「手が震える」ほどのピリピリ感から解放。7番は10メートルのバーディーパットをねじ込むなど、この日のベストスコアに並ぶ67で回った。首位と1打差の2位につけ「お父さんと話し、こまめに水分を取って歩幅をゆっくりしたら落ち着いた」と、キャディーの父直さんの存在にも感謝した。

 10歳の時、福岡の自宅前の空き地でゴルフ練習していた父のマネをするように競技に触れた。おもちゃのゴルフセットでまっすぐボールを飛ばせるようになると練習場で本格的に始めた。小学5年から全国大会にも出場。師匠の父とは「ケンカはしない。キャディーの時も手を出せば何がほしいか分かってくれる」という以心伝心ぶり。直さんも「何も言わなくても自分で気がつく」と信頼を置く関係だ。

 昨年は休職扱いでキャディーを務めてくれた父は今年1月に勤務先の物流会社ランテックを退職。家族の稼ぎ頭となった三ケ島は「私が大黒柱だと思っている」。その責任感も成長の糧だ。優勝賞金をゲットすれば来季賞金シード獲得の目安となる2000万円を軽く超える。「今日みたいに自分を見失わずに1打1打しっかりと。数字は見ないで頑張ります」。本名は伽奈だが、両親から「成績が見やすいように」と小学時代から「かな」で登録する異色の三ケ島が初優勝の好機に挑む。【藤中栄二】

 ◆三ケ島(みかしま)かな 本名は伽奈。1996年(平8)7月13日、福岡県生まれ。10歳からゴルフを始める。沖学園高では13年全国高校選手権団体戦優勝。15年のQT(出場予選会)を5位通過し、昨年からツアーフル参戦。賞金ランキング55位でシードを逃したものの、QTを1位通過した。ドライバー飛距離は230ヤード。趣味は音楽鑑賞。家族は両親と料理師を目指す妹里奈さん(19)。164センチ、51キロ。血液型AB。