成田美寿々(24=オンワードホールディングス)が、15年6月のサントリー・レディース以来となる約2年ぶりのツアー通算8勝目を挙げた。首位で出ると、6バーディー、1ボギーの67で回り、通算21アンダー267。2位に4打差をつける独走Vだった。目標に掲げる20年東京五輪の金メダル獲得に向け、約1年半前から着手したスイング改造が実を結んだ。

 最終18番、ウイニングパットを決めた成田は、ガッツポーズでギャラリーの声援に応えた。2位に4打差をつける独走優勝。「私は、自分の優勝では泣かないです」。約2年ぶりの優勝でも、涙は必要なかった。代わりに号泣するパッティング担当の南秀樹コーチを「泣きすぎです」と、慰めるほどの余裕と自信に満ちあふれた。

 出だしの1番で、2・5メートルのパットを決めてバーディー発進した。3番でもバーディーを奪った直後の4番パー4で3パット。4日目で初ボギーをたたいたが「3日間のノーボギーが不安だった。やっとボギーがきた」とプラスに変えた。続く5番、8番アイアンでの2打目をピン50センチにつけて再びバーディー。唯一のピンチだった14番の約2・5メートルのパーパットを沈め「ぐっと優勝に近づけた」と確信したという。

 15年冬、東京五輪の金メダルを目指し「4カ年計画を立てた」(父俊弘さん)。主に手首の使い方を変えるスイング改造に着手。試行錯誤し、優勝から遠ざかった代わりに成長した自信が持てた。「苦しんで勝てたから、もっともっと強くなれたかなと思う」と手応えを口にした。

 今年は賞金女王になることが計画の1つ。賞金ランキングも14位から5位に浮上し「16~17試合あるので脅かしていければ」と不敵に笑った。最低でも同5位以内を確保し、3年ぶりとなる来季の全米女子オープン出場権も狙う。「出場だけで終わったら面白くないし、五輪も金を狙わないと競技者ではない。チャンスがある限り、金メダルを狙っていきたい」。2年ぶりの優勝は、その序章だ。【藤中栄二】