奇跡的なカップインで、J・トーマスが逆転優勝に突き進んだ。松山英樹と1打差で迎えた10番。左に曲げた第1打が木に当たってフェアウエーへ戻る幸運。さらに2・5メートルのバーディーパットがカップの縁にいったん止まった。半分カップをのぞいた状態。念じるように右手を上げて待つこと5秒、6秒…10秒がすぎるとコロリとカップへ。このホール2度目のミラクルに「重力のおかげかな。すごい歓声だったね」と笑った。

 13番ではチップインバーディー。グリーンマイル(死刑台への道)と呼ばれる超難関の上がり3ホールへ入っても勢いは衰えない、17番パー3は手前の池近くに切られたピンを果敢に攻めて4メートルにつけ、バーディー。松山との差を3打に広げて優勝を決定づけた。昨年10月のCIMBクラシック、今年1月のSBSチャンピオンズに続き、松山との優勝争いを制しての今季4勝目に「ヒデキとの戦いはタフ。今、彼は最も強い選手の1人。でも、僕もいい選手だと自信を持って戦った」と胸を張った。

 メジャー3勝の同い年スピース(米国)に「間違いなく嫉妬していた」と振り返る。60年以降、24歳の若さでメジャーを含むシーズン4勝以上はニクラウス、ウッズ(ともに米国)、マキロイ(英国)、そしてスピースに続く快挙。大器がビッグタイトルをつかんだ。