アマチュアで昨年の日本女子オープンを制覇した畑岡奈紗(18=森ビル)が復活のプロ初優勝を挙げた。通算6アンダーの首位から8バーディー、1ボギーの65でラウンド。今季から参戦した米女子ツアーで苦しんだ経験を生かし、2位に4打差をつける通算13アンダー203の圧勝劇だった。18歳254日でのツアー2勝目は宮里藍(18歳262日)の最年少記録を8日更新。次週の日本女子オープン(千葉・我孫子GC)では連覇を狙う意欲も示した。

 ホステスプロとして最高の締めくくりを演出した。最終18番パー5、畑岡は2打目をバンカーに入れたものの、58度ウエッジでの3打目でピンまで5メートルにつける好アプローチ。「下りのスライスがまだ苦手な部分があった。思い切って練習通りやろうと思った」。攻めのバーディーパットのカップインを見届けると、力強く両手を挙げた。

 1、2番の連続バーディー後、6番パー4の2打目がグリーン奥にこぼれ、2パットで初ボギーをたたいた。今季苦しみ続けた米女子ツアーは利府GCと同様、高速グリーンが主流。「上につけると痛い目に遭う。上りのパットを残すように意識しました」。その直後からピン手前にボールを寄せ、7~9番の3連続を含む計6バーディーを奪取。「マネジメントが少しずつできるようになりました」と、米国の経験を生かしたことを強調した。

 「5、6月の調子では考えられなかったこと。優勝はすごく良かった」。4月にメジャーのANAインスピレーション出場権を逃した後、武器のショットが狂い始めた。5~7月の9試合で、予選通過は1試合。米参戦の準備不足に加え、自ら移動便や宿泊先の予約、荷造りなども行う負担も重なって、心身の疲労が蓄積した。当時、国際電話を受けた母博美さん(47)は「いつも泣き言を言わないのに、おえつして『帰りたい』と言われました」。深刻な状況から脱出した鮮やかな復活優勝だった。

 どん底だった6月。アーカンソー選手権の練習ラウンドで「最後は自分を信じて」と助言をくれた宮里さんの最年少2勝目記録を更新した。翌週の日本女子オープン会場、千葉・我孫子GCの練習ラウンドも既に2回消化。「コースが思っていたよりも広いので自分向きかなと。優勝を狙っていきます」。苦悩の1年間を乗り越え、畑岡が秋の反攻を開始する。【藤中栄二】

 ◆畑岡奈紗(はたおか・なさ)1999年(平11)1月13日、茨城・笠間市生まれ。11歳から競技開始。岩間第2小では少年野球チームで二塁手。岩間中では陸上部で200メートルが専門。15年に世界ジュニア、関東高校選手権、国体優勝。名前は父仁一さんが「世界に羽ばたく子に」という思いで米航空宇宙局NASAから命名。16年10月、ツアー出場4戦目、日本女子オープンでアマチュアとして初優勝。11月、伊藤園レディースでプロデビュー。目標は中嶋常幸と宮里藍。158センチ、62キロ。

 ◆日本女子プロ協会・小林浩美会長の話 うれしいし、すごい。藍ちゃんの記録を抜き、藍ちゃんが優勝した大会で優勝し、似ている道を歩んでいますね。