ツアー通算2勝目を狙う時松隆光(24=筑紫ケ丘GC)が不運に見舞われた。通算13アンダーの首位で迎えた16番パー3で、同組のS・ハン(31=米国)が11打のオクタプルボギー。約15分も待たされてリズムを乱した時松は17番でダブルボギー、18番でボギーと失速した。7バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの69で通算10アンダー。それでも前日と同じ3位ながら首位と1打差に接近した。

 まさかの珍事に、時松がリズムを狂わされた。ツアー屈指の難易度を誇る16番で“事件”は起きた。同組のS・ハンがティーショットを7メートル以上ある左の崖に落とすと10打目でピンそばに付けるまで、時松は第2打が打てない。宮里とともにグリーン横で待機すること約15分。時松はそのホールこそパーでしのいだが、完全に集中力が途切れた。

 「見て見ぬふりをしていたんですが。(宮里)優作さんも16番はダボで、いい空気ではなくなった。17番が急ぎ気味になってしまったし言い訳はしたくないけど。(気持ちの)変化がなかったと言えばウソになる」

 単独首位のまま突っ走る思惑は崩れた。続く17番は4メートルのパーパットでラインを読み違え、返しも外してダブルボギー。最終18番もボギー。7バーディーを奪いながら残り2ホールで首位から陥落し、落胆の色を隠せなかった。

 「追う立場の方がいいのかどうかは、1回しか優勝経験がないのでよく分からない。仕切り直すしかない」。9月のANAオープンはプレーオフの末にV逸。約1年2カ月ぶりの優勝へ、まだ1打差3位で間違いなく射程圏内だが…。流れの悪さからか、時松に笑顔はなかった。【益子浩一】

 ◆時松隆光(ときまつ・りゅうこう)1993年(平5)9月7日、福岡県生まれ。福岡・沖学園高時代の11年に九州アマ優勝。本名は源蔵(げんぞう)で、12年3月のプロ転向を機に寺から授かった「隆光」を登録名に。16年7月のダンロップ・スリクソン福島オープンで大会記録となる通算25アンダーで初優勝。168センチ、75キロ。