小平智(28=Admiral)が大逆転で今季初となるツアー5勝目を挙げた。金亨成(37=韓国)時松隆光(24)と激しい優勝争い。2度も3打差をつけられた首位の金が16番で崩れて逆転、17番ではバーディーを奪い時松を突き放す。69で回って通算14アンダーの274で決着をつけた。元賞金女王の古閑美保(35)と3月に結婚後初の優勝で、賞金ランクも首位に浮上。米ツアーで戦う松山英樹に「負けない」と挑戦状をたたきつけた。

 強気な小平でさえ、指が震えた。最終18番。決めれば優勝の1・5メートルのパーパット。打つ直前に飲もうとした水が緊張で揺れた。勝ちたいという思いが、強かった。カップに球が落ちる乾いた音が響く。湧き上がる大歓声。この瞬間を3月に結婚した愛妻に伝えたかった。表彰式を終えると、会場に来られなかった古閑に、グリーン上から電話をかけた。

 「一番優勝を届けたいのが美保だった。『いい勝ち方だったね』と言ってもらえた。僕は、この1勝で終わるつもりはない。次は美保と一緒に喜びたい」

 2度も諦めた。7番でボギーをたたき3打差。11番で追いつきながら、14番のボギーで再び3打差。力尽きたかのように膝を落とした。「さすがに厳しいと思った。ドラマが生まれるとは思っていなかった」。ところが、第3日にS・ハンが11打を擁した“魔の16番パー3”で首位を走る金が崖につかまりトリプルボギー。時松と並ぶ首位に再浮上した。続く17番で5メートルのバーディーパットを沈め単独首位。大逆転のドラマが完結した。

 「人のミスは望んでいない。でも、棚ぼたじゃないけど、あれでチャンスが生まれた。あのホールだけは人を見てしまった」

 賞金ランクトップに立ったが、視線は米国だ。「賞金王はそんなには思っていない。それより世界ランク50位以内が目標。マスターズに出たい」。優勝スピーチでは世界3位の松山を意識し「松山、遼(石川)に負けないように頑張りたい」と宣言。年末には披露宴を予定する。今度は愛妻の目の前で、勝利を見せる。【益子浩一】

<小平智の使用クラブ>

 ▼1W=プロギア RSドライバーF(シャフト=グラファイトデザイン ツアーAD クワトロテック75 硬さX、長さ44・25インチ、ロフト角10・5度)

 ▼3W=テーラーメイド M2

 ▼3I=プロギア ナブラ

 ▼4I~PW=プロギア PRGR TUNE

 ▼ウエッジ=テーラーメイド M2、フォーティーン RM22(60度)

 ▼パター=スコッティキャメロン プロトタイプ

 ▼ボール=タイトリスト プロV1X