70歳の尾崎将司(セブン・ドリーマーズ・ラボラトリー)が3バーディー、2ボギーの70をマークし、年齢以下のスコアで回るエージシュートを達成した。13年4月のつるやオープン初日にレギュラーツアー史上初の快挙を成し遂げてから1625日ぶり2度目の偉業。通算3オーバーの99位で予選通過はならなかったが、力強いドライバーショットを連発。進退をかけたシーズンで確かな手応えをつかんだ。

 スタートを控えていた池田ら後輩プロたちが、続々と18番グリーンに集まる。熱気の中心で尾崎将は静かにパーパットを沈め、拍手喝采に右手を挙げた。同組の伊沢が耳打ちすると2人で大笑い。「ここまで来て失格はやめてくださいね」。同じく伊沢がマーカーだった02年のカシオ・ワールドオープンでスコア誤記のチェックミスから失格になった。しっかり確認して、大記録は無事達成された。

 「70でナイスプレーって言われるのもね。オレのプライドとしてみればどうかな」と笑いつつ、やっぱりうれしい。理由は「ここ4、5年で一番良かったんじゃないか」というドライバーショットだ。前日よりロフトを1度ほど寝かせたものに替えたことで、高弾道を実現。同組の46歳宮瀬をたびたびオーバードライブした。距離を稼げるからグリーンを狙うショットの負担も減る。パーオン率は第1日の38・89%(部門別120位)から72・22%(同19位)にはね上がった。2ボギー先行から巻き返し「後半は全盛期をほうふつとさせるようなゴルフだったね」とドヤ顔を決めた。

 進退を懸けると宣言して挑むシーズン。ドライビングディスタンスは昨季より10ヤード近く伸びているのに、なかなか結果につながらなかった。「進化しようとして、いろんな試行錯誤をして、伸びる分野と落ちる分野があって、落ちる方がまだちょっと多いんだわ」。過去7度の優勝を誇る9月のANAオープンで最下位となり、出場61試合連続で決勝ラウンドに進めなかった時は「もがいているよ、奈落の底でね」と漏らした。

 「何でうれしいかと言ったら、男子プロがちょっと低迷してるし、少しでも話題を提供できたことが一番良かったと思う」とうなずいた後で宣言した。「もう1つ上の話題を提供できるように頑張るよ」。貪欲な70歳の目は、早くも次を見据えている。【亀山泰宏】