悪天候によるコースコンディション不良で最終日の競技が中止となり、前日21日の第2ラウンドを終えて通算9アンダーで単独首位に立っていた時松隆光(24=筑紫ケ丘GC)の今季初優勝、ツアー通算2勝目が決まった。

 朝に出発前のホテルで日本ゴルフツアー機構から中止決定の連絡を受け「(最終日を)やりたかったので残念ですけど、優勝は優勝なので、率直にうれしいです」と静かに喜びをかみしめた。早くから台風の影響により最終日の開催が危ぶまれていたこともあり、秋吉翔太、出水田大二郎、香妻陣一朗といった同じ九州出身のプロや同い年の川村昌弘と囲んだ前夜の食事の席では「みんなから『おめでとう』と言われて、結構飲まされて(笑い)」。気の早い祝福のかいもあったのか「僕は(酒に)弱い方なので、気持ちよくなって(最終日のことを)いろいろ考える前に寝られました」と振り返る。

 初優勝を飾った昨季から一転、今季は5月から9月にかけて7試合連続予選落ちと苦しんだ。ナイキがクラブづくりから撤退した影響で、クラブ契約フリーで臨むシーズン。「いろんなメーカーさんから『ぜひ』と試打させていただいているけど、どこのクラブも良くて、結局どれがいいか分からない」という悩みを抱えていた。転機は8月のISPSハンダ・マッチプレー選手権。対戦した手嶋多一から「ドライバーが合ってないんじゃないか? スピンが少ないのか、球が全然上がってないぞ」と指摘を受けた。

 九州出身プロの大先輩であり、21年連続で賞金シードを守るベテランとは五十音順で試合会場のロッカーが近く、5月にはアイアンも手嶋の影響でミズノに替えていた。そして「使ってみろ」と勧められたミズノのドライバーを試した9月のANAオープンでいきなり優勝争い。プレーオフで敗れて2位となったが、同じ週に替えたブリヂストンのボールとともに大きな手応えをつかんでいた。

 来年の世界選手権シリーズ、ブリヂストン招待という大舞台の切符もつかんだ2勝目の実感はまだ湧いていない。「もちろんうれしいですけど、運で勝ったようなもの。1勝目は運で2勝目が実力とよく言われますけど、僕の場合は両方が運だった。次、72ホールをしっかりやって、3勝目を挙げて認められると思う。そこを目標に、今年もう1度優勝争いができれば」と謙虚に言った。