29位から出た松山英樹(26=LEXUS)が、不測の事態にも底力を見せ、スコアを1つ伸ばした。4バーディー、3ボギーの71で回り、通算イーブンパーの144で首位と9打差の18位で決勝ラウンドに進出。序盤で左手親指に痛みを感じながら、アンダーパーをマークした。「66」のパトリック・リード(27=米国)が9アンダーで単独首位に浮上。初出場の小平智(28)は1オーバーの23位で予選を通過。池田勇太(32)は9オーバーの69位、宮里優作(37)は10オーバーの75位で予選落ちだった。

 松山は4番のティーグラウンドで飯田光輝トレーナーに左手のケアを施してもらった。2月のフェニックス・オープンで痛めた左手親指は「前の2試合では痛くなかった。今日は久々に痛くなったので、ちょっとビックリしました」。ショットだけでなく、パットも練習量次第で負担がかかることもあるという患部。3週前に復帰してからは練習場で球数を抑え、トレーナーも細心の注意を払って大目標に備えてきた。左手首には、前日は見られなかった黒いテーピングをスタートからしていた。

 トレーナーに左手を触ってもらう最中も右手でコースメモをめくり、戦略を確認。勝負への執念を示し、アプローチで何とかチャンスをつなぎ留めた。グリーン右に第2打を外した11番。グリーンはピン、さらには後方の池に向かって超高速で下っている。手前のエッジに落として勢いを殺し、傾斜をゆっくりと転がして1・2メートルにピタリ。アーメンコーナーに陣取るパトロンの喝采を浴びた。

 パーパットは惜しくも外れたが、寄せの精度を示すスクランブリングは2日間で全体2位。同じく米ツアーに挑戦し、ショートゲームの重要性を知る岩田寛が「英樹は(日本にいる時から)ずっと世界を意識して練習していたと思う。アイアンはもともと世界クラス。あと足りなかったものは、こっちで気付いて。アプローチの打ち方を変えたりとか」と話したことがある。極限の舞台で、真骨頂をいかんなく発揮している。

 ショットへの影響は「そこまで、ですね」とした左手親指について「棄権するほどの痛みじゃないと思う。大丈夫」と強調。パットが上向いている感覚もある。36ホール終了時点では56年バーク(米国)の8打差が最大の逆転劇。グリーンジャケットに袖を通すためには、マスターズ史に残るドラマが必要だ。【亀山泰宏】