賞金女王の底力を見せた。鈴木愛(23=セールスフォース)が、自己ベストタイで大会コースレコードとなる64をマークし、首位と4打差の3位に急浮上した。ボギーなし、8バーディーの猛チャージで、通算7アンダーの137。今季目標に掲げた年間3勝目に前進した。66で回った新人の新垣比菜(19)が通算11アンダーで首位を守ってツアー初優勝に王手をかけた。

 圧巻のバーディーラッシュだった。鈴木は前半、ショットがさえて次々にピン付近に寄せると、2~4番の3連続を含む5バーディーを奪った。後半も集中力を持続させ、11番で4メートル、12番で2・5メートル、13番で9メートルのロングパットを沈め、この日2度目の3連続バーディーを決めた。「かなり気持ち良くゴルフができた」と自賛。24パットとうまさを見せつけた。

 73だった第1ラウンド後に、悪癖に気付いた。マレットタイプのパターヘッドを目で追っていたという。一晩で球だけを見るように修正した。「パットの時、ずっとボールを見ています。かなり昨日が悪かったので、やっと面白いゴルフができたなという感じ」と、最大の武器を取り戻した。

 自己ベスト更新には1打届かないものの、全美貞(韓国)が昨年大会第1日にマークしたコースレコードの66を2打も更新した。首位と4打差の3位まで浮上だ。今年は既に2勝を挙げ、目標の年間3勝まで、あと1勝に迫った。4年連続でオフに合同自主トレを行う、ロッテ福浦和也内野手(42)も2000安打まであと25本と奮闘中だ。「19歳も年上なのに私よりも全然、練習するんです」と刺激を受ける。前週もオリックス戦に足を運んで応援した。

 大会コースはグリーンのうねりが強く、パッティングの実力差が勝負を分ける。首位をキープした新垣とは4打差と開くものの「3~4パットは普通にすると思うのでチャンスはある。明日も内容の良いゴルフができれば」。あえて優勝の2文字を口に出さず、不言実行で目標の3勝目を狙いにいく。【藤中栄二】