プロ13年目の額賀辰徳(34=フリー)が1イーグル、4バーディー、2ボギーの66で回り、通算9アンダーの201でツアー初優勝を逆転で飾った。過去4度1位に輝いたドライビングディスタンスは今季も306・5ヤードでトップ。日本屈指の飛ばし屋として大器の期待を背負い続けた男が、ツアー166試合目でついに殻を破った。今季日本ツアー初参戦の松山英樹(26)は74と苦しみ、4オーバーで46位だった。

額賀は「来週QTに行こうと思っていたら、まさかの優勝って感じです。(松山)英樹にも感謝しなくちゃいけない」と笑った。

過去5度出て最高43位の大会で初V。松山も監修で携わったコースの全面改修がプラスに働いたという。「やりやすかった。僕にいい方向に向けてくれた」。6日に松山と練習ラウンドした時はショットの新しい試みがはまらず絶不調。「企業秘密」と詳細は伏せつつ「英樹と話したりして、先週やっていたことを続けた方がいいんじゃないか」とヒントをつかんでいた。

改修でパー5からパー4となった最難関の6番は約325ヤードをかっ飛ばして、ただ1人バーディー。15番では3番ウッドで1オンに成功し、悠々とバーディーを奪った。谷口徹には「日本のケプカ」と世界屈指の飛ばし屋を引き合いにいじられる飛距離。2度獲得したシードはいずれも1年で失った。「このままやっていても、優勝まで上がっていけないのかなって葛藤もあった。賞金ランクとか、飛ばし屋がなかなか上位にいかない。ゴルフを難しくして、むしろ足を引っ張ってるんじゃないかって。ただ、自分が下手なだけなんですけど…」。同じ大学のゴルフ部だった友美夫人(35)も「ずっと“ただ飛ぶだけ”と言われて苦労してきたので」と感極まった。

「辰徳」の名前は両親が地元の鹿島神宮でつけてもらった。ゴルフに熱中する前は鹿島の年間指定席を購入するサッカー少年で、野球なら巨人ファン。「いつか原監督とグータッチしてみたい。でも1勝じゃ、まだまだ」。同名の巨人原監督との交流を夢に描き、飛躍を誓った。【亀山泰宏】

◆額賀辰徳(ぬかが・たつのり)1984年(昭59)3月28日、茨城・鹿嶋市生まれ。14歳でゴルフを始める。中央学院大では04、05年関東アマ連覇、04年日本オープンローアマ、文部科学大臣杯全日本学生優勝など数々のタイトルを獲得し、06年プロ転向。11年には下部チャレンジツアーで賞金王に輝いた。家族は友美夫人、長男智也くん(8)、次男大雅くん(3)。183センチ、80キロ。