成田美寿々(26=オンワードホールディングス)が逆転で今季初勝利、通算12勝目を挙げた。首位と4打差3位から出て6バーディー、1ボギーの67で回り、通算5アンダーの283で昨年覇者アン・ソンジュ(韓国)との歴史に残る激闘を制した。この優勝で、開幕戦からの日本人連続優勝が5に伸び、14年ぶりの記録となった。

心理的に追われる立場になっても成田はぶれなかった。17番でアンに4アンダーで並ばれて迎えた最終18番パー5。果敢に2オンを狙う。イーグルこそ逃したが、2メートルのバーディーパットをねじ込んだ。4日間、ずっと心に唱え続けた2パットで、劇的な大逆転勝利をものにした。

「本当にあり得ないことが起きた。苦手なのに調子よく、不安なく回れた」と会心の笑みを浮かべた。過去5回出場で3度予選落ち、最高40位という苦手な大会で4日間、1度も3パットなし。12勝中8勝が逆転と「逆転の成田」をあらためて証明した。「すごい自分で自信になった。また違った成田美寿々が生まれた感じ」と手応えを口にした。

開幕から不調にあえいだ。20年東京オリンピック(五輪)代表を争う鈴木や比嘉に優勝で先を越され焦りが募った。オフに1カ月半の米国合宿で、ドライバーやアイアンの飛距離は約5ヤードずつ伸びていた。2パットを心掛けることで、決勝ラウンドから上向いたパッティングがきっかけになった。心に余裕ができて、押し引きを加減しながらプレーしたことで、成田は1段階段を上がった。

今年は20年東京五輪出場のために重要な年だ。「五輪から逆算して年間5勝が目標」。この大会の優勝で生涯獲得賞金も5億円を超えた。ただの1勝ではない大きな収穫を手にした。【桝田朗】