12年に女子会員が認められた男子ツアーのマスターズ・トーナメントの会場、オーガスタ・ナショナルGCで女子大会が初開催された。2万人のパトロンが見守る中、マスターズと同様に往年の女子選手が名誉スターターを務め、日本からただ1人出場した安田祐香(18=大手前大1年)が世界で初めて同コースで公式試合に臨む女子の1人としてプレー。通算2アンダーで3位に入る健闘をみせた。
マスターズと同じムードに包まれた。午前7時の開門と同時に約2万人のパトロンが詰めかけた。スタートの雰囲気も聖地そのもの。ナンシー・ロペス(米国)、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、ロレーナ・オチョア(メキシコ)、朴セリ(韓国)の名選手たちが集結。始球式にあたる名誉スターターを務め、大歓声を浴びた。
スターター4人によるティーショットが披露された後、同GCのリドリー会長が開幕を宣言。米ツアー通算48勝のロペスは「こんな日が来るとは。私もプレーしたかった」と感慨深げにコースを見つめた。1932年開場の同GCは会員が男性限定としてきたことに批判を浴び、7年前に女性会員が誕生。1番ティーでスタートを見守った会員第1号の1人、ライス元米国務長官も「歴史的な1日」と表現した。
あこがれの同GCで初プレーした安田が躍動した。別コースで開催された予選2日間。出場72人中、通算2アンダーの6位で同GCの決勝切符を手にした。決勝は4バーディー、4ボギーの72で回り、通算2アンダーの堂々の3位。1番でボギー発進した後の2番でバーディーを奪い、一時は首位と2打差に迫った。
後半は高速グリーンに苦しんだが、最終18番はマスターズと同じパトロンがグリーンを囲む中でパッティング。カップイン後、大きな歓声と拍手を受け「たくさんのギャラリーがいて幸せ。(興奮度)100、マックスです。初めて外国のギャラリーに囲まれ、反応もアメリカンな感じで楽しかった」と振り返った。
18年日本女子プロツアーでアマ最長記録の10戦連続予選通過を果たした注目アマは練習場での表彰式にも参加し感激の表情。最終組で回った世界アマランク1位カップチョが優勝し、マスターズさながらの熱気を帯びたエンディング。翌週のマスターズにつながる盛大な女子大会となった。
<オーガスタ・ナショナルGC>
▼開業 「球聖」ボビー・ジョーンズ、コース設計家アリスター・マッケンジーが手がけ、1932年に開業。マスターズの会場として有名。マスターズでは観客がギャラリーではなく、パトロンと呼称。同GC会員が資金援助して大会運営に関わったことが由来。
▼高難度 高速グリーンが有名。「ガラスのグリーン」と呼ばれ、見た目以上にボールを打ち込む位置が重要となる。
▼名物コース 11~13番は神に祈らなければ無事に回れないといわれ「アーメン・コーナー」と呼ばれる。同ホールは例年4月、多数のアザレアが咲き、景観の美しさが増す。
▼総距離 1934年の第1回大会は6665ヤードで開催。その後の改造で距離が延びて7475ヤードで開催予定。最後方にあるティーグラウンドがマスターズティーと呼ばれるが、今回の女子大会は一般男性会員が使用する前方のティーを使用し総距離も6365ヤードで開催。
◆安田祐香(やすだ・ゆうか)2000年(平12)12月24日、神戸市生まれ。3歳上の姉の影響で7歳からゴルフを始める。小学3年から坂田塾に入門。神戸市・原田中から滝川二高に進学し、3年時に主将。17年全日本女子アマ優勝後、ナショナルチーム選出。昨年の世界女子アマチーム選手権2位。今春から兵庫・大手前大に進学。得意クラブはショートアイアン。11月にプロテストを受験する。家族は父光祐さん、母美香さん、姉美祐さん。164センチ、54キロ。血液型はO。