黄金世代の旗手、勝みなみ(20=明治安田生命)が、全美貞(韓国)とのプレーオフを制し、令和初の大会の頂点に立った。

7位から出て7バーディー、2ボギーの67で回り、通算12アンダー、204。昨年オフから取り組むメンタルトレーニングで教わった「今、ここ、自分」の気持ちで挑み、アマチュア時代を含め、ツアー3勝目を挙げた。

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しびれる緊張感を楽しんでいた。18番のバーディーパット。勝は入れないとプレーオフにいけない大事なパットを前にしても平常心を保っていた。「すべての球は平等。いつも通りプレーすることを心がけた」と、上からの難しいラインを読み切り、約2メートルを沈めた。「令和のいいスタートが切れた」と満足げに話した。

存在感は新時代に入っても変わらない。3つスコアを伸ばして迎えた後半12番。雷雲の接近で約2時間27分の中断があったが、その時間も焦ることなく、同じ「黄金世代」の新垣比菜らと話し込みリラックス。仲間との貴重な時間を発奮材料に、再開された12番でバーディー発進すると、14番、18番でスコアを伸ばし、プレーオフにつなげた。

ファンにプレゼントする7つのバッジに「今、ここ、自分」と自身に言い聞かせるように書き込んだ。そして迎えたプレーオフ。2打目を刻んだ相手に対し、残り202ヤードの位置から果敢にグリーンを狙い、ピン右奥7メートルに2オン。「緊張よりも、どう打とうかという気持ちが勝った。優勝につながった」。重圧のかかった全美貞は、第3打を寄せ切れなかった。

観戦に訪れた父秀樹さん(49)に初めて届ける勝利にもなった。「プレーオフの最後もこの1打をどう打つかと楽しめていた。父があまり見に来られない中で優勝できてうれしい」と喜んだ。

15歳でツアー最年少優勝を果たした才能に、向上心で磨きをかける。昨年オフからメンタルトレーニングを導入した。当初は興味本位だったが「メンタルひとつでプレーが変わる。『今、ここ、自分』は先生に教わった。理にかなっているし、メンタルの必要性を感じている」と納得した。ゴルフに向かう姿勢に変化が生まれ、「楽しむ」ことがテーマになった。

来週は国内メジャー第1戦ワールド・サロンパス・カップ(9日開幕、茨城GC東C)を迎える。「メジャーとか関係なく楽しみたい」。新時代の旗手の飛躍を予感させた。【松末守司】

勝みなみの使用クラブ▼1W=住友ゴム工業 スリクソン Z785(シャフト=ディアマナDF50、長さ45・25インチ、ロフト9・5度)▼3W=同 ZF85(15度)▼5W=同 ZF85(18度)▼4UT=同 ZH65ハイブリッド(22度)▼アイアン=同 ZーFORGED(5I~PW)▼ウェッジ=クリーブランド RTX4(50度、54度、58度)▼パター=オデッセイ O WORKS▼ボール=スリクソン Z-STAR XV