全英女子オープンで日本勢42年ぶりのメジャー優勝した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、国内凱旋(がいせん)試合を笑顔で終えた。

9位から出て5バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの72で通算4アンダーの13位。87年岡本綾子以来、日本女子2人目の日米2週連続優勝は逃したが、最終18番を2連続バーディーで締めくくり、大会最多動員記録となった観衆を沸かせた。ペ・ソンウ(25=韓国)が、プレーオフ(PO)を制しツアー初優勝した。

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やっと笑顔が戻った。最終18番パー5。ちょうど1週間前、全英を制した時と同じような光景が広がった。優勝争いをしているかのように大観衆が待っていた。渋野は残り72ヤードの第3打をピンそば3メートルに付ける。これを沈めた瞬間、大歓声と拍手、指笛が響いた。逆転Vを狙いながら4番パー4で第2打を崖に落としてダブルボギー、9番パー5でも林に入れてボギー。苦しんだ最終日を忘れる2連続バーディー締めだった。

「そこ(最後の2ホール)で取れるなら、最初から取っておけよ! って感じですよね。ダボもあったし、パー5でもったいないボギーもあった。イラッとしたけど17、18番のバーディーで吹っ切れました」

過密日程との闘いだった。開幕前日のプロアマ戦に出場した以外、練習時間は取れなかった。疲労はピークで第1日には38度を超える発熱。全英で見せた「シンデレラスマイル」は消えた。来季は国内ツアーに軸足を置きながら、海外メジャーは全て出場する。現在世界ランクはオリンピック(五輪)出場圏内の日本人2位となる14位。今後は五輪会場の霞ケ関CCの視察など、五輪を視野に入れた日程が予想され、さらに忙しくなる。

「初日の発熱は予想外。体が動かない時にアンダーが出て、体が動く時(最終日)はイーブン。これは何なんだ? でも、今回これ(過密日程)を経験したことで選択肢ができた。(メジャーの後は)休む選択肢と翌週も3日間やる選択肢。次からは考えながら出るか決めたい」

シーズン終盤を見据え、2週後のCATレディース(23日開幕、神奈川)と、4週後のゴルフ5レディース(9月6日開幕、茨城)は欠場する可能性が高い。賞金ランクは申ジエ(韓国)に続く2位。全英優勝で一躍、国民的ヒロインになった20歳は、初の賞金女王、さらに五輪女王へと輝きを増す。【益子浩一】