急性副鼻腔(びくう)炎を発症した全英女王の渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、29日開幕の国内女子ツアー、ニトリ・レディース(北海道・小樽CC)に強行出場する。

28日、プロアマ戦に出場。高熱で前日27日の練習ラウンドを回避し、事実上のぶっつけ本番になるため「自信がない。予選落ちしても仕方がない」と珍しく弱気。苦境を乗り越え、目標の年間獲得賞金1億円突破を目指す。

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表情は明るいが、いつもの渋野節はほんの少し。珍しく弱気な面をのぞかせた。小樽の気温は19度と肌寒い。雨の中でプロアマ戦を回った渋野は「たぶん大丈夫。何とか症だった。あれっ? 何て病名だっけ?」とおどけてみせた。その後に「練習ラウンドもできなかったし、ショットが悪すぎてどうしようもない。自信がないです。予選落ちしても仕方がないのかなあ…」と思わず漏らした。

数日前から歯の痛みを訴え前日27日には38度5分の発熱で練習を中止。急性副鼻腔(びくう)炎と診断され、点滴と抗菌剤の投与を受けた。「本当に悪いと入院しないといけないと言われた」。深刻な状況でも強い薬をもらい1日の静養で会場に姿を見せた。疲労蓄積で前週のツアーを欠場し、次週のゴルフ5レディース(9月6日開幕、茨城)も欠場予定。今週も休めば3週連続になり「さすがにマズイ。でも気持ちはいいけど、体が追いついていません」と正直に話した。

今大会で勝てば年間獲得賞金1億円を突破する。この日、同組になったのは、ノーベル医学生理学賞の本庶佑(ほんじょ・たすく)京大特別教授と中嶋常幸、似鳥昭雄大会会長。ノーベル賞のメダルをかたどった記念のチョコレートを渋野に贈った本庶氏は「海外メジャーをもうひとつとって欲しい。勝負どころで、これをかじれ」と激励した。

満身創痍(そうい)でも渋野は「このコースは本当に難しいけれど、最後まで諦めずにやりたい」。目標の1億円突破、その先にある賞金女王へ。気力を振り絞って臨む。【益子浩一】