全英女王の渋野日向子(20=RSK山陽放送)が凱旋(がいせん)3戦目での優勝を逃すも、ツアー記録に並んだ。

4位から出て3バーディー、2ボギーの71で回り通算7アンダーの281で5位。6月から続く国内ツアーの連続オーバーパーなしの記録は、13年アン・ソンジュ(韓国)と並ぶ最多28ラウンド(R)に到達した。次週は欠場予定。日本女子プロ選手権(12日開幕、兵庫)で新記録達成と、年間獲得賞金1億円突破がかかる。鈴木愛(25)が今季4勝目を挙げた。

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悔しさは次戦への力になる。大観衆が見守った最終18番。バーディーパットがそれると、渋野は腰をドンドンとたたいた。世界を魅了したシンデレラスマイルはない。唇をかみながら小樽の青空を見上げ、ため息をはいた。お盆開催のNEC軽井沢72トーナメントは3位。出場2戦連続でV争いを繰り広げながら、あと1歩が遠く5位。開幕前には高熱を出し、決して万全ではなかった。

「確かに体調は良くなかったです。ちょっとカゼをぶり返している感じ。でもそれは言い訳にできない。ショット、アプローチ、パター、全部を改善しないとダメ。良かったのは記録だけ。全体的に悪かった」

とはいえ、悪くても観衆を沸かせる魅力が今の渋野にはある。ニチレイレディース第1日(6月21日)から続く、国内の連続オーバーパーなしの記録は最多タイの28Rに到達。体調不良でも、調子が上がらなくても大崩れしない。プロとしての矜持(きょうじ)が、大記録につながった。全英から帰国後3戦は常に優勝を狙える位置(13、3、5位)にいる。この日集まった6242人も、4日間累計1万7249人も大会最多を大きく更新。渋野フィーバーは衰えを知らない。

「誰も成し遂げていない記録には価値があると思う。並んだからには、もちろん新しい記録を作りたい」

次戦のゴルフ5レディース(6日開幕、茨城)は欠場。国内メジャー2連勝がかかる日本女子プロ選手権(12日開幕、兵庫)に万全の状態で臨む。偶然にも舞台は2度目の挑戦で昨年7月のプロテストに14位で合格したチェリーヒルズGC。「受かった場所なのでいいイメージがあります」。5位の賞金600万円を加算し現在は同ランク2位の約9079万円。原点の地で、新記録と年間1億円突破をかける。【益子浩一】