プロ6年目の柏原明日架(23=富士通)が悪夢を振り払いツアー初優勝を飾った。4位から7バーディー、3ボギーの68で回り、通算10アンダー、206。これまで、首位で迎えた15年の日本女子オープン選手権の17番で左の池に落とし優勝を逃したトラウマに悩まされてきたが、優勝の懸かったこの日の15番で左の池を越えでパーを拾って克服。初のタイトルを手にした。2週連続優勝を狙った渋野日向子(RSK山陽放送)は73で、イーブンパーの22位だった。

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大粒の涙が頬をつたった。最終18番。柏原は1・5メートルのウインニングパットがカップに吸い込まれる前に右拳を何度も握った。届きそうで届かなかった初のタイトルに、ぬぐってもぬぐっても涙がこぼれ落ちた。「本当に長かった。今までで最高の瞬間」と喜びをかみしめた。

自分に勝って、壁を乗り越えてみせた。15年の日本女子オープン選手権。トップで迎えた17番で左の池に入れ、まさかのトリプルボギーで4位。それがトラウマとなり、どの大会でも、どんな順位でも、左に池があると過剰に反応してしまった。勝てないんじゃないか-。「自分の弱さ」となり、葛藤してきたが、あれから4年。悪夢を振り切る時がきた。

2位と4打差で迎えた15番パー3。同じように左に池があった。逃げなければ「必ずいいきっかけになる」。自身の心を奮い立たせピンまで170ヤードを7番アイアンで振り抜くと、グリーンからこぼれたとはいえ、しっかり池を越えた。「勝てる」。心が晴れ渡ると落ち着いてパーパットを決め、優勝をたぐり寄せた。

先輩の言葉も支えになった。親交のある大山志保に「勝てないのはなぜ」と聞くと、「(大事なのは)1勝目の早さではない」と伝えられた。焦っていた心は落ち着き、プレーに集中できるようになった。「自分の中では大きな言葉だった」。勝ったことで、地元の宮崎で行われる最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」の出場が確定。「今日まで余韻に浸ってまた調整したい」。勲章を手に新たな1歩を踏み出す。【松末守司】

<使用クラブ>

▼1W=キャロウェイ EPIC FLASH サブゼロ(シャフト=ディアマナ、10・5度、長さ45・75センチ)▼4、5、7、11W=同 ローグ▼アイアン(5~PW)=同 APEXフォージド▼ウエッジ=同 MD3 MILLED(48、52、56度)▼パター=オデッセイ オーワークス2ボール▼ボール=同 クロムソフトX