石川遼(28=CASIO)が今季3勝目、ツアー通算17勝目(アマチュア時代含む)を挙げ、史上最年少「28歳82日」で生涯獲得賞金10億円を突破した。

この日は66をマークし、通算8アンダーでブラッド・ケネディとのプレーオフに突入。3ホール目のバーディーで決着させ、23年までのシードを獲得した。世界ランクは113位から80位台となり、松山英樹、今平周吾に次ぐ日本人3番手は確実。20年東京オリンピック(五輪)の現実的出場枠「2」へ、夢がつながった。今平が2年連続賞金王を確定させた。

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真正面から西日が照りつける中、石川が4番アイアンの一振りでついにグリーンを捉えた。18番パー3(227ヤード)。正規ラウンドはボギー、プレーオフ2ホールはパー。3度とも右ピンに対し、5番アイアンでグリーン右に外したが“4度目の正直”で、ピン手前2・5メートルにつけた。

「あんな泥臭い展開ありますか? 必死にへばりついて」。バーディーパットを決め、両手を高々と挙げた。かっこいい見た目と裏腹に、不細工に粘った自分がうれしそうだ。

優勝賞金の4000万円を加えて、28歳82日の史上最年少で生涯獲得賞金が10億1235万4906円に達した。大台突破にも「試合数でトップならいいけど、年齢は意味がない」と感慨はない。

ただ強くなりたい。「僕のゴルフの場合、ドライバーとアイアンのスイングの兼ね合いが大事。どっちもいい状態で4日間戦うことが、世界で戦うには最低限必要なんです」。最終戦で試し、手応えを得たのが「体の軸」を強く意識したスイングだ。

今大会中、ショット前に、右のお尻がピョコッと上がるダウンスイングの動作を繰り返した。腰痛を持つ身には厳しい動きだが、やはり理想を求めたい。「その時代で流行のスイングはあるけど、僕の中ではやっぱりタイガー・ウッズなんです。それも最強だった2000年前後の」。腰痛時はアドレス→テークバック→インパクトで前傾姿勢を保ちきれず、重心が高くなった。低く抑えてスイングする工夫が、そこにある。

今年のゴルフ界は渋野日向子がメジャーのAIG全英女子オープンに優勝、女子と男子の“格差”がさらに広がった。「人気は結果で、渋野さんがメジャーで勝ったことが1番。世界一ですから。男子もそこですよね。本質はそこにあると思う」と言い「これ、自分に言ってるんですよ」と続けた。

世界ランクは20位松山、34位今平、100位下で星野、その下の4番手にいたが、今回の優勝で80位台の3番手になる見込み。出場枠「2」が現実的な来年の東京五輪へ。「首の皮1枚。まだまだ遠いですけどね」と冗談交じりに笑う。これからが、冗談を本気にする戦いだ。【加藤裕一】

<石川遼の使用クラブ>

▼1W=キャロウェイ エピック・フラッシュ(シャフト=ツアーADグラファイトデザインWC-7 長さ45インチ、硬さトリプルX、ロフト8・5度)▼3W=同 XR16(13・5度)▼UT=同 Xフォージド(21度)▼アイアン=同 エイペックス・プロフォージド(19度)、アイペックスMB 4I~PW▼ウエッジ=同 Xフォージド(50度)マックダディ2(58度)▼パター=同 PT 09ix プロタイプ▼ボール 同 クロムソフトX