新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が、女子プロゴルファー渋野日向子(21=サントリー)を直撃した。米女子プロゴルフ協会(LPGA)は10日、20日開幕のホンダLPGAタイランド(タイ)と、27日開幕のHSBC女子世界選手権(シンガポール)の中止を決定した。

渋野は、東京オリンピック(五輪)の出場権獲得を見据え、同2戦に出場予定だったが、国内ツアー開幕戦ダイキン・オーキッド・レディース(3月5日開幕、沖縄・琉球GC)からの始動となる。

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新型コロナウイルスの脅威が、渋野のシーズン始動を遅らせることになった。出場エントリーを済ませ、近日中に日本を出発、出場予定だった米ツアーのホンダLPGAタイランド、HSBC女子世界選手権の中止が決定。すでに3月5日開幕のブルーベイLPGA(中国)の中止を決め、アジアシリーズ3戦キャンセルとなったLPGAは「難しい決断だったが、選手、ファン、大会関係者の健康と安全を最優先に考えた。残念だが、またアジアに戻ってくるのを楽しみにしている」との声明を出した。

渋野はマネジメント事務所を通じて「楽しみにしていた大会が中止になり、とても残念です。新型コロナウイルスの感染拡大が一刻も早く終息に向かうことを祈っております」とコメントした。

もともと、渋野が自身の開幕を米ツアーのアジア2連戦とするスケジュールを組んだ理由の1つに、今季の目標「東京五輪出場」があった。現実的に「最低2枠」となる五輪出場権を左右する世界ランクにおいて、米ツアーの大会は同ランク上位選手が多く出場するため、国内ツアーより高いポイントが与えられる。

現在、渋野は世界ランク11位で4位畑岡奈紗、14位鈴木愛に挟まれた2番手だ。五輪出場権争いは6月末まで続く。中止となったこの2試合だけでは、最終的な結果に大きく影響はしない。この2連戦には渋野同様、畑岡も出場を予定し、不出場だった鈴木と3人そろって“現状維持”になっただけだ。ただ、この2試合が予定通り開催され、スタートダッシュを決められれば…という“理想のシナリオ”はお流れになった。

渋野のマネジメント事務所によると、今後の調整プランは未定。肩すかしを食らった気持ちをリセットした上で、ぽっかり空いた2週間で打ち込み、ラウンド練習などをこなし、3月5日からの国内ツアー開幕に備えていく。

◆五輪出場権 女子は国内ツアー「アースモンダミンカップ」メジャーの全米女子プロ終了翌日6月29日時点の五輪ランキング(実質的に世界ランキング)で出場選手60人が決まる。出場権は基本的に各国でランク上位の2人だが、同15位以内に多くの選手がいる国は最大4人が出場可能。日本勢は3日発表の世界ランクで15位以内に畑岡、渋野、鈴木が入っており、今のままなら3人出場できる。15位以内に入っていない国は、16位以下の最大2人が出場可能。

◆世界ランキングの決め方 女子の正式名はロレックス・ランキング。過去2年間(104週)の大会で獲得したポイントを出場競技数で割った平均ポイントで順位付け、毎週更新する。現況がより反映されるよう、直近13週の結果に重点を置くため、古い91週のポイントは一定割合で減じていく。