ツアー開幕の見通しが立たない中、女子プロゴルファーはシーズンに向けた調整を続ける。日刊スポーツでは主要クラブメーカーの主な契約プロや、使用予定クラブを、クラブ調整のクラフトマン、プロ担当の目から随時紹介。

 

「クラブのプロが見たプロ」として、2020年シーズンの目標や注目ポイントを探る。第6回はミズノ契約の原英莉花(21=日本通運)。

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シャープなルックス、スタイルでいてゴルフは男っぽい。173センチの長身を生かしたドライバーショットは昨季、平均253・33ヤードを計測。部門別ランクは黄金世代中最高の4位につけた。力感あふれるインパクトに、師匠尾崎将司の“大きく育てたい”との思いが見える。同社のクラフトマン(CM)が言う原のイメージは「飛ばし屋」とそのまんまだ。

CMが期待するパフォーマンスの向上は「さらなる飛距離アップ」。新ドライバー「ST200X」を使う。同社は欧米モデルのSTシリーズを、3代目ST200から世界展開した。高反発規制前に使用した素材βチタンをルール内で使い、フェースのたわみ、強度を上げ、飛距離アップにつなげた。「-X」は、その軽量化タイプになる。

クラブ構成全体も、女子プロらしくない。球が上がりやすいフェアウエーウッド型のユーティリティーを使わず、3、4番という正真正銘のロングアイアンを操る。男子でも珍しいハードスペックに、CMは「ドライバーからウエッジまで、同じ感覚でスイングしたいタイプ。感性が強い分、必然的にクラブにも多くを求めますね」という。

ツアー初優勝した昨年6月リゾートトラストレディースでは第1日に66で首位発進しながらホールアウト後、ショットに納得せず、違うシャフトのクラブを試した。「その向上心が優勝につながったと思う」とCM。プロ3年目、当面の目標はツアー2勝目だが、賞金女王争いの期待もうかがわせる大器だ。【加藤裕一】

◆原英莉花(はら・えりか)1999年(平11)2月15日、横浜市生まれ。ゴルフは10歳から。神奈川・湘南学院高から尾崎将司に師事。実質プロ1年目の18年は最終QTランク117位から下部ツアー2戦2勝などでツアー出場を増やし、賞金ランク38位で初シード獲得。プロテストは同年2度目の挑戦で合格。ツアー初優勝を飾った昨季は賞金ランク14位。173センチ、58キロ。

<原英莉花のミズノ社クラブ>

▼1W=ST200X(ロフト角8・5度、シャフト=三菱D-LIMITED 50、硬さS、長さ46インチ)▼3W=ST200TS(海外モデル、15度)5W=ST200(海外モデル、18度)▼アイアン=ミズノプロFLI-HI(3I)同920(4I~PW)▼ウエッジ=ミズノオリジナル(51、58度)