星野陸也(24=フリー)が大混戦の優勝争い、プレーオフを制し、通算3度目の優勝を達成した。最終ラウンドは5バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの70と苦しみながら首位をキープ。9アンダー、275で並ばれた堀川未来夢とのプレーオフでは、3ホール目にバーディーを決め勝ちきった。18年に続く大会2度目の優勝で、10月に米国開催となったZOZOチャンピオンシップ出場権も獲得した。

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長い長い激闘は、6メートルのバーディーで決着した。プレーオフ3ホール目。星野はピン右奥から下りのフックラインを読み切った。最後のひと転がりでカップに入ると、右手で思い切りガッツポーズ。日大1年の時にコーチで指導を受けた堀川を、最後の力で振り切った。

「本当にこの長い戦いで、プレーオフで優勝できて、めちゃくちゃうれしいです」と喜びを弾けさせた。18年の初優勝に続く、フジサンケイ・クラシック複数回優勝は、9年、10年と連覇した石川遼以来。「ちょっとずつ遼さんに近づけていたのかな」と顔をくしゃくしゃにした。

苦しい戦いだった。1打差の首位で出て、前半6番でバーディーの後、7番でまさかの池ポチャ。ダブルボギーをたたき、リズムが狂った。後半もボギーが先行したが、直後にバーディーのバウンスバックで巻き返し。終盤17番で1度は抜かれた堀川に追いつき、プレーオフに持ち込んでの優勝だった。

オフには、スイングの改造や分析に取り組んだ。中学時代卓球部だったこともあり「ゴルフにつながるものがある」と卓球台を購入。球の回転の研究をした。さらにユーチューブで大リーグ・エンゼルスで活躍する大谷翔平のスイングも分析。「すごいきれいなスイングで、ボクがゴルフで考えたスイングにつながったりするんです」と、オフの頭のトレーニングが開幕Vにつながった。

今大会の優勝で、10月に米国で開催が決まったZOZOチャンピオンシップへの出場も決まった。「出場権をもらえたので、自分がどこまで通用するかチャレンジしたい。しっかり決勝ラウンドでプレーしたい」と抱負を語った。長身のロングヒッターで進化を続ける24歳は「この優勝で自信がついた。4勝目、5勝目と目指していきたい」と次なる目標を口にした。【桝田朗】

◆星野陸也(ほしの・りくや)1996年(平8)5月12日生まれ。茨城県出身。6歳からゴルフを始め、茨城・水城高では関東ジュニア連覇などの実績を残し日大に進学。2年時の16年6月に中退すると、8月のQT挑戦を機にプロ宣言。17年にチャレンジ開幕戦を制しプロ初勝利。18年のフジサンケイ・クラシックで国内ツアー初勝利を挙げた。2勝目は昨年のダンロップ・スリクソン福島オープン。186センチ、76キロ。

<星野陸也の優勝クラブ>

▼1W=ダンロップ スリクソンZX7(シャフト=三菱ケミカル・クロカゲXT ロフト角9・5度、硬さX、長さ45インチ)

▼3W=テーラーメイドM2HL(16・5度)

▼5W=ダンロップ スリクソン Z-TX(18度)

▼アイアン=同スリクソンZ 585(3I)同スリクソンZ945(4I~PW)

▼ウエッジ=クリーブランド RTX3ブレード(50度、58度)

▼パター キャロウェイ オデッセイ ホワイトライズ#3

▼ボール ダンロップ スリクソンZスターXV

▽時松隆光(最終日に70で回り、優勝と1打差の8アンダー3位)「思い起こせば、あの1打というのがたくさんあった。10アンダーをめざしてやったので、10アンダーだったら優勝できていたし、悔しいけど収穫もあった」

▽今平周吾(後半に5つのバーディーで優勝と2打差の7アンダーで5位)「(若い人の活躍は)悔しいっすよ。でも若い人が活躍すると盛り上がるのでいい。(全米オープンへ)久々の試合でカンもだいぶ戻ってきた」