福岡大大濠2年の田中貫太(16)が大会初参戦初優勝を飾った。5バーディー2ボギーの68で回り、2位に2打差をつけての快挙だった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大会が延期され1日開催。8月の九州アマでの悔しさをバネに初の大会優勝を手にした。総合の部18位タイおよびシニアの部9位タイまでが日刊アマ全国大会(10月27、28日、千葉CC梅郷コース)の出場権を得た。

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まだあどけさなが残る笑みが、小倉カンツリー倶楽部で弾けた。今大会初めて参加した田中が狙って優勝を手にした。「優勝しか考えずにラウンドしていました」。まさに有言実行。残暑厳しい気候にも17歳のパワフルなゴルフがさえた。

2番でボギーをたたくも3番でバーディー。7、8番は連続バーディーを決めた。前半を2アンダーで折り返すと、13番ボギーにも14、15番とまたも連続バーディー。ボギーをたたいてもバーディーで取り返す連続だった。「7番ロングでは会心のバーディーでした」。練習ラウンドではバンカーに何度も入れたが、本番ではティーショットを右に曲げてもショットでばん回し3メートル下りスライスを決めて見せた。

リベンジの思いだった。8月の九州アマでは九州オープン出場権をかけた上位30位を逃す38位。「目標を失っていた。練習場に今大会のポスターがあってこれだと思った。絶対にいいスコアで優勝しようと思った」。九州アマでは「ドライバーで攻めすぎた」と反省。この日は刻んでスコアを優先させた。

福岡大大濠にはゴルフ部がないため、福岡市内の桜美ゴルフハウスで練習している。時松隆光プロ(27=筑紫ケ丘)も学んだゴルフ場で、いわゆる野球グリップの「テンフィンガー」グリップを実践している。「時松さんのようになりたい」。地元福岡市で明太子製造会社「味福」の社長でもある父匡(ただし)さん(52)からの厳しい指導もある。「高校でしっかり勉強して文武両道でないとゴルフさせてもらえないと父から言われています」と田中。九州アマの悔しさを晴らすには優勝しかなかった。

19年ラグビーW杯日本代表のWTB福岡堅樹(27=パナソニック)に憧れている。「高校3年間で福岡さんみたいに文武両道ができるようになりたい」。中3で出場した九州ジュニア4位が最高だった田中が、初めて味わう大会優勝の自信を胸に大きく羽ばたく。【浦田由紀夫】

○…2打差2位となった宮城(みはしろ)は、若いパワーをもらってのスコアに喜んでいた。優勝した田中と同組でラウンド。今大会は4位が最高で「優勝するつもりで高校生を引っ張っていくつもりだった」というが、田中の力強いゴルフを目の当たりにした。「逆に引っ張ってもらって、いいスコアがでたかもしれない」とニッコリ。自己最高の2位に満足げだった。

○…女子選手5人が参加したなか、トップの成績を残したのは沖学園中2の藤本だった。前半をパープレーでまとめ、後半は2バーディー3ボギー。「ピンポジションが難しかった」と苦心したとはいえ、全体でも3位タイの好成績。「目標5位以内」をしっかりクリアし「12月の団体戦で優勝を目指して頑張りたい」と言葉を弾ませていた。

○…シニアの部優勝は、62歳の野上英が手にした。前半2オーバーも、後半は2バーディー1ボギーで巻き返して1オーバーと奮闘した。「この結果は十分でしょう」とスコアには満足していた。猛烈な勢力で九州を襲った台風10号の影響で「家も店も片付けが大変で体力がもつかどうか分からなかったけど、力を抜いたり入れたりしてなんとかやれました」と残暑のなか、還暦を過ぎた体とは思えないスコアメイキングだった。

▽沖学園中3の三明は1オーバー3位タイ 「3パットを何回もしてしまってダメでしたが、アプローチは良かった。中学最後の年なので、これからベストを尽くして頑張りたい」。

▽大会最年少12歳で参加した沖学園中1年大地陸は2オーバー7位タイの成績に 「前半は1アンダーでよかったけど後半13番でダボをたたいてしまった。11月の個人戦、団体戦で頑張りたい」。

▽大会初参加の渡部は81で48位タイに 「ベストスコア74の更新が目標でしたが後半に崩れてしまいました。両親とも日本人ですがベルギー生まれというこもあって名前がセリーヌ清香。気に入ってます」。

▽日刊アマ大会委員長・村田哲也氏(60) 「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、アマチュアのゴルフアーが大会が少なくなって困っていました。そのなか、この日刊アマが開催されるのは非常にありがたいです。日刊スポーツさんには多くの協力をいただき感謝しています。そのおかげで、九州のジュニアの男女プレーヤーも多く参加していただき、彼らにとっても大きな大会となったと思いますし、全体でも100人を超える方の参加で、大会も盛り上がることができました。コロナ対策も万全の態勢を整えることができ、無事に大会を終えることができました。来年はコロナも終息し本来の2日間大会として、しっかりやれることを願います」。

◆田中貫太(たなか・かんた)2003年(平15)10月13日、福岡市出身。大楠小から高宮中を経て福岡大大濠へ進学。ゴルフを始めたのは小6。大会では中3の時、九州ジュニアでの4位が最高。自己ベストは昨年5月大博多CCでの月例会での65。170センチ、80キロ。両親と姉。血液型はA。

◆小倉カンツリー倶楽部 1961年(昭36)開場。丘陵地に造成され池が巧みに配置された18ホールは、戦略的なレイアウトでグリーンは起伏に富む。コース設計は上田治氏。クラブハウス設計は、皇居新宮殿建設などに関わった吉村順三氏。08年、日本ミッドアマが開催された。所在地は北九州市小倉南区西貫2の1の1。電話093・471・7611。