松山英樹(28=LEXUS)が、4位の好位置から日本男子初のメジャー制覇に挑む。7位で出て6バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算イーブンパーの210。通算5アンダーの首位マシュー・ウルフ(21)と、同3アンダーの2位ブライソン・デシャンボー(27=ともに米国)にはない、豊富なメジャー優勝争いの経験を生かして逆転優勝を狙う。石川遼は通算10オーバーで40位、今平周吾は同13オーバーで55位となった。

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終盤の失速も受け入れていた。18番をパーセーブしてホールアウトすると、松山は帽子を取って同組のワトソンとグータッチ。健闘をたたえ合った。ほどなく受けたインタビューで「バーディーの数も増えて、すごくよかった」と、この日の最多に並ぶ6バーディーへの好感触を口にした。さらに「最後の4ホールぐらいでショットが暴れてしまい、スコアに直結してしまった。それが、まだ今日(第3ラウンド)だったのは救い」と続けた。最終日の後半に失速して首位から陥落し、涙を流した17年全米プロ選手権の経験が強くしていた。

17番パー4で今大会初のダブルボギーをたたいた。残り約210ヤードから、左サイドの深いラフにスッポリと埋まった第3打をミスショット。方向も距離も意図しない、右サイドのバンカーに入れた。第4打もピンを8メートルをオーバー。ボギーパットがわずかに届かず、さすがに表情を曇らせた。「明日は耐えながらバーディーを取らないとチャンスはない。忘れて、明日はそういうことがないように」。最終日、逆転優勝への教訓と受け止めた。

14番で6つ目のバーディーを奪った時点では3アンダーまで伸ばしていた。5打差の逆転は容易ではないが、首位のウルフは全米オープン初出場。8月の全米プロに続く2度目のメジャー出場で、2位のデシャンボーも今年の同大会4位以外にメジャーの優勝争いはない。英語のインタビューでも「経験が生きるのでは」と聞かれ「このUSオープンは、タフな戦いになるのは分かっている」。過去7度もトップ10入りしながら逃し続けた、メジャー制覇への思いは人一倍強い。

松山の米ツアー通算5勝のうち、4度が最終日の逆転だった。全米オープンでの最終日逆転は、1960年、アーノルド・パーマーの7打差が最大。5打差以上の逆転は6度ある。「全てがいい方向に行けば、すごくチャンスはある」。逆転を信じて疑っていない。

◆松山とメジャー アマチュアだった11年のマスターズに19歳で初出場以降、メジャーは今大会で通算31試合目。トップ10には13年全米オープンで10位に入ったのを皮切りに過去7度ある。16年マスターズは2打差3位で迎えた最終日に崩れて7位。17年全米オープン選手権は最終日に14位から猛追し、日本男子史上最高に並ぶ2位に入った。その2カ月後の全米プロ選手権は1打差2位で臨んだ最終ラウンドで一時首位に立ったが、5位に終わり人目もはばからず涙を流した。