初出場の渋野日向子(22=サントリー)が、日本人初のメジャー2勝目へ好スタートを切った。

4バーディー、1ボギーの68で、首位と1打差の2位につけた。昨年のAIG全英女子オープンで、樋口久子以来42年ぶり日本人2人目のメジャー制覇。その時と同じ2位発進で、不振が続いた今年の最終戦で存在感を示した。エーミー・オルソン(米国)が、4アンダーで首位に立った。

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強い渋野が帰ってきた。終盤の6番パー4、ピンまで10メートルのカラーからパターを振り抜くと、吸い込まれるように最後の一転がりでカップイン。13番、1番でも5メートルのパットを決めてバーディーを奪った。強気なパットで制した昨年の全英女子オープンよりも、繊細なタッチで距離をピタリと合わせる進化を見せつつ、同様にグリーン上で勝負強さを見せた。首位と1打差の3アンダーに「よう自分が、こんなスコアを出せたなと思います。100点以上。出木杉(できすぎ)くんです」と笑顔で語った。

新型コロナウイルスの影響で、当初の6月から日程が変更された。初の冬開催で、日照時間が短くなるため初めて2コースを使用。渋野が回ったサイプレスクリークコースは、決勝ラウンドでも使用するメインコースで距離は長い。難コースで、渋野は一時狭めていたスタンスを、昨年のように広く取って腰を落とし、豪快に振り抜いた。

「ティーショットに関しては、特に怖いものはなかった」。出だしの10番パー4は、ティーショットを右のバンカーに入れたがリカバリー。3番パー4では、林の中に打ち込んだが、木に当たってフェアウエー真ん中に戻ってきた。思い切りの良さが幸運も引き寄せた形だ。パーオン率は全体2位の83%と、パットとの総合力で全英女子オープンと同じ2位発進。「久しぶりに最後までのびのびできた」と充実感を漂わせた。

今年は3カ月遅れの開幕戦から、国内外で3戦連続予選落ちなど、不振が続いた。だが国内ツアーの最近2戦で5位、3位と復調。開幕2日前の8日には米国の宿泊先に勝みなみ、三ケ島かなを招き、バーベキューを楽しみ気分転換した。第2ラウンドは悪天候予報だが「とりあえず3つ稼げたということで明日は耐えに耐えまくるしかない」。今の渋野には困難も楽しむ余裕がある。

◆出木杉くん 国民的アニメ「ドラえもん」の登場キャラクターで、フルネームは出木杉英才(できすぎ・ひでとし)。ドラえもんと暮らす、のび太のクラスメート。成績優秀、スポーツ万能、さらに性格も良好と、非の打ちどころがない。