日本人初のメジャー2勝目を目指し、首位から出た初出場の渋野日向子(22=サントリー)は4位に終わった。2バーディー、5ボギーの74と3つ落とし、通算1アンダー、283。今年で75回目と、メジャー5大会の中でも最も歴史のある全米女子オープンでの、日本人初優勝も果たせなかった。最終ラウンドで4つ伸ばした金阿林(25=韓国)が、通算3アンダーで米ツアー初優勝を飾った。世界ランキング1位の高真栄(韓国)とエーミー・オルソン(米国)が、1打差の通算2アンダーで2位となった。

順延による1日遅れ、最終組の大トリで最終ラウンドをスタートした。11年大会以来、9年ぶりの月曜日決戦。1番パー4はティーショットを右ラフに入れると、第2打もグリーンを外した。それでも下り傾斜の途中で止まり、池への落下は免れパーセーブ。2番パー4、左ラフからの第2打は木の枝に当てて急降下した。ほとんど前進せず、ラフからも脱出できず、1打損した格好でボギーを先行させた。だが、1打差2位のオルソンも、このホールをボギーとして単独首位。3番でパーをキープすると、連続ボギーのオルソンとは2打の差がついた。

その後も5番パー5の第3打、80ヤード足らずのアプローチをミスし、大きくグリーンをオーバーするなどショットは安定感を欠いた。一方で4番パー3、15メートルの第2打を50センチに寄せ、5番パー5、2・5メートルのパーパットを危なげなく決めるなど、パットでパーを拾い、序盤6ホールは単独首位を守っていた。

だが7番パー4で、2メートルのパーパットを決めきれず2つ目のボギーをたたいた。一時の3連続ボギーから盛り返したオルソンに並ばれた。9番パー5では、第3打をグリーン手前のバンカーに入れるピンチだったが、パーを拾って同じくパーのオルソンと並び、首位から陥落することなく前半を終えた。

後半に入ると、10番パー4でボギーをたたき、ついに2位に陥落し、首位を譲った。11番パー4で連続ボギー。13番パー5で、3メートルのパットを決めて、この日最初のバーディーを奪った。だが、先に回っていた韓国勢がスコアを伸ばし、首位に戻ることはできなかった。それでも最終18番パー4で、ロングパットを沈めて2つ目のバーディーを奪って関係者から歓声を浴び、笑顔を見せた。今年は国内外で3戦連続予選落ちから始まったが、最後は国内ツアーでの5位、3位に続き、3戦連続トップ5で締めた。

ホールアウト後は「悔しいです。悔しいですけど、これが今の実力なんだなと思って受け止めるしかない」と語った。今大会を通じてこの日が最も冷え込み、ラウンド中を通じて気温10度に満たなかったが「かなり飛距離も落ちてしまったどころか、自分のスイングもできずに18ホールを終えてしまった感じだった。最後までなかなか取り戻すことができなかった」と、気候に順応しきれず、普段通りのプレーができなかったことを反省した。

「まずパーオンができないというところから、チャンスにつけることもできず。パー5もパーオンしていないですし。追う立場になったからといって、特に心境の変化はなかったです」と、順位よりも本来のプレーができないことを歯がゆく思いながらプレーしていたという。それでも、渋野としては年内最終戦でメジャー4位については「今年1年を考えると、よく頑張ったかなと思います。3日目、4日目のゴルフが、たぶん今の自分なのかなと痛感します」と、悔しさを押し殺し、声を震わせて話した。

18番のバーディー締めに、インタビューで「持っているとは」とたずねられたが「持っていたら優勝していると思いますけど、それでも最後は、いい締めができたとは思います」と、笑顔も見せた。ゴルフファンに向けては「来年、再来年、もっと強くなって、そういう姿を皆さんの前で見せられるように、もっと練習に励みますので、これからも応援よろしくお願いします」と、力強いメッセージを送った。

「2カ月前に(米ツアーで)戦って、米国ツアーで戦いたいと前より思えて、今回1週間戦って、結局、またそれよりも、米国ツアーに行きたいという気持ちが強くなった。結局、この悔しい気持ちは、米国ツアーでしか晴らせない。絶対にここで、また戦いたいなと思います」。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米ツアーの予選会が中止となり、来年のツアーメンバー入りには、今大会で優勝することがラストチャンスだった。それもかなわなかったが、力強く将来的な米ツアー参戦への思いの強さを語った。