ツアー7勝の佐伯三貴氏(36)が、稲見萌寧(21=都築電気)の勝因を3つの要素から解説した。

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稲見の勝因は<1>風に負けない<2>第2日66のアドバンテージ<3>メンタルの強さにあると思います。

<1>は、今回の土佐CC特有の強くて重い海風に対応できたことです。風の中でいかに力強いコントロールショットが打てるか。稲見はオフのトレーニングにキックボクシングなどを取り入れ体幹を鍛えたと聞きます。体幹が鍛えられていて、軸がしっかりしたというのは大きな要因です。

<2>は、やはり第2日ベストスコアの66が大きかった。風の中で66を出して、2位以下を引き離して最終日を迎えられた。その最終日は4オーバーと落として並ばれましたが、いい意味で気持ちがリセットできたと思います。

そして<3>は、稲見の一番の特徴とも言えるメンタルの強さです。昨年のスタンレー・レディースで2勝目を挙げたときもプレーオフで勝ちきりました。あのとき印象的だったのが、「私が勝つんだ」という顔つき。その表情と、迫力あるスイングを見たとき、「おおっー!」と久しぶりに驚かされたものです。オンとオフ、ギアの入れ方がうまく、同世代の中では最も気持ちの切りかえも上手な選手です。

大会を通して、2位に入った永井や、堀奈津佳、堀琴音の姉妹などの復活劇があって、見どころの多いトーナメントになりました。永井は1勝目から2勝目が遠い分、悔しい思いもしたと思いますが、また次に頑張ってほしい。

渋野に関しては、後半崩れましたが、予選を通過することは最低できている。予選を通れば、下の方であっても、必ず次につながります。米国遠征へ向けての準備を自分なりに、考えてしっかりやっていると思います。最初はうまくいかなくても、オフに多く取り組んできたことの成果は、試合を重ねることで出てくるはずです。

米ツアー挑戦と国内ツアーの掛け持ちは大変ですけど、今しかできないこと。こういう経験を若いうちに積むことが大事です。