夢が現実になった。マスターズで松山英樹が日本男子初のメジャー制覇を成し遂げた。松山にとって念願だった勝利は、日本のスポーツ界にとっても快挙。さまざまな人物、側面から「夢のマスターズ 日本人初V!!」と題した連載で、この偉業に迫る。

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オーガスタでの快挙は、良好なチームワークがもたらした勝利でもあった。松山英樹(29)を、1学年上、同世代の目沢秀憲コーチ(30)と高校、大学の2学年後輩、早藤将太キャディー(27)らが支えた。選手でもあった早藤氏は19年から松山の専属キャディーで、今年から目沢氏が専属コーチとして加わった。

マスターズ優勝後に書面で取材に応じた目沢コーチは、早藤キャディーについて「頼もしいチームメート」と称賛した。元選手であるがゆえの観察眼の鋭さがあるとし「コース内の一番近くで松山選手を支えていて、感覚的な部分も私にフィードバックしてくれる」。2人とも若いが、「年齢は全く関係ないです。デメリットはありません」と力を込めた。

マスターズの最終18番後に早藤キャディーがピンを戻してコースに一礼する姿は世界中で反響を呼んだ。松山は14日にオンラインで行った会見でこの行為について「良い行動をしていたんじゃないかなと思ったし、僕も一緒にできたら良かったなと思いました」。自身のスイングなどに好影響を与えてくれた目沢コーチの指導にも「自分の新たな発見などにいろんな意見を出してくれた。今までとは違う感じでプレーができていた」と感謝した。

松山が「信頼している人」と話す通訳のボブ・ターナー氏や、コンディションを整える飯田光輝トレーナーらの貢献も大きい。役割を全うしたチーム全員の力でつかんだ大きな1勝だった。【松尾幸之介】

◆目沢秀憲(めざわ・ひでのり)1991年(平3)2月17日、東京都生まれ。河本結、永峰咲希、有村智恵ら日本人女子トップ選手を指導。日大ゴルフ部出身で、松山の1学年上。大学卒業後は米ボストンに留学。日本人では数人しかいない米国レッスンライセンスTPIを取得。