ゴルフの海外メジャー、全米女子オープン(6月3日~6日、カリフォルニア州ジ・オリンピックC)の日本地区予選が26日、横浜CCで行われた。

予選にはプロのほか、一定基準を満たしたアマチュアも参加でき、今回も夢の舞台を目指して計108人(プロ63人、アマ45人)が出場。過去2度本戦出場の勝みなみ(22)をはじめ、川満陽香理(33)、仲西菜摘(21)、三宅百佳(25)、アマチュアの小暮千広(17)の成績上位5人が出場権を手にした。

14年から日本でも開催されるようになった同予選も今年で7回目(20年はコロナ禍で中止)。1日36ホールを回る一発勝負ではその日の調子なども大きく影響する。昨年の予選では初めてアマチュア選手2人が同時に出場権を獲得。今年も通過者にはプロアマ関係なく興味深いメンバーが顔をそろえた。

通算2オーバーでトップ通過を果たしたのは先週の下部ツアー、九州みらい建設グループレディース窓乃梅カップを制していた川満と、本年度のプロテスト合格を目指す仲西の2人。偶然にも2人は共に沖縄県出身。川満は夫の貞包(さだかね)聡介氏をキャディーとして勝ち抜き、「私の調子が悪い時でも『大丈夫、大丈夫』と声をかけてくれて、何とか乗り切れました」と笑顔で振り返った。

川満は昨年9月からマスターズを制した松山英樹らを指導する目沢秀憲コーチにも指導を受けている。「私も教わっているからには恥ずかしくない成績を出したいですね」と苦笑いもみせつつ「まずは報告して、(全米について)コーチに聞いてみたいことはたくさんあるので、聞きたいと思います」とその経験をしっかりと吸収するつもりだ。

もう1人のトップ通過者の仲西は本年度のプロテスト合格を目指す21歳。20年1月にはQT(ツアー予選会)の末に中国ツアーの出場権も獲得していたが、コロナ禍で参加を断念したという。プロ合格を目指す中で、海外メジャーへの切符を手にし「うれしいです。海外は好き。マキロイやミケルソン、タイガー・ウッズとかに憧れています」と目を輝かせた。

同世代には国内ツアーで8戦4勝と強さをみせている稲見萌寧がいる。「いつも萌寧ちゃん頑張れ~と思って見ている」と同世代の活躍にも刺激を受けており「自分もプロテストに通ってツアーで活躍できるようになりたいです」と意気込んだ。

2打差の3位で通過した三宅は予選初参加で出場権を手にした。練習ラウンドなども共に行った同期の新武瑠衣に誘われて出場したというが、堂々のプレーで大舞台への切符を獲得。「信じられなくてびっくり。めちゃくちゃわくわくしています」と喜びをかみしめた。

残り2枠は熾烈(しれつ)な争いとなり、4位に勝と小暮、築山栗子の3選手が並んでプレーオフへ。17、18番の繰り返しで行われ、2ホール目で共にパーとした勝と小暮が最後の切符を手にした。すでに本大会に2度出場している勝は「落ちたと思っていたのでうれしいです」と安堵(あんど)の表情をみせ、「本戦では予選を通過して上位で戦って、いろんなトップ選手のプレーを見て勉強したい」と話した。

小暮は茨城の明秀日立に通うアマチュアの高校3年生。「1日の予選で出場権が得られるのはチャンス」と意気込んで臨み、見事に通過を果たした。「学校の仲間で泣いて喜んでくれている子がいてうれしかった。米国には旅行でしか行ったことがないですけど、頑張りたい」と力を込めた。

今回は予選の前日まで国内ツアーのフジサンケイ・レディースが行われており、最終日まで戦って出場した選手は渡辺彩香と山城奈々のわずか2人のみだった。コロナ禍による海外帰国後の2週間の隔離期間を考慮して海外大会参戦を避ける選手も多く、プロアマ問わず「それでも行きたい」と強い意志を持った選手らにチャンスがめぐってきた形となった。前回の全米で10位以内だった渋野日向子、米ツアーを主戦場としてポイントランキングで出場圏内の畑岡奈紗、オーガスタ・ナショナル女子アマを制した梶谷翼もすでに出場権を得ており、今後は5月17日時点での世界ランキング75位以内の選手も出場権を獲得する流れとなっている。

今回の全米女子オープンは世界ランキングを基に決定する6月下旬の東京オリンピック(五輪)代表期間の直前でもあり、ポイント配分の高い同大会での成績が五輪代表の行方にも大きく影響する可能性もある。19年の渋野の全英女子オープン優勝、そして今年の松山のマスターズ制覇で盛り上がる日本ゴルフ界。新たなスター誕生にも期待しながら本大会も注目していきたい。【松尾幸之介】