松山英樹(29=LEXUS)が、優勝した4月のマスターズ以来、約1カ月ぶりのツアー復帰戦で、ギャラリーに大歓声で迎えられた。アジア人初の偉業を再認識しながら、5バーディー、1ボギーの68で回り、4アンダーで54位。9アンダーのジョーダン・スピース(米国)ら首位とは5打差につけた。前週優勝争いの末に11位の小平智は、6バーディー、1ボギーの67で、34位発進となった。

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選手紹介のアナウンスも熱を帯びていた。「カレント(現在の)マスターズチャンピオン、ヒデキ・マツヤマ!」。1番パー4のティーグラウンド。マスターズ優勝以来の松山の第1打を前に、米国のファンから「フォー!」という大歓声や指笛が鳴り響いた。帽子に手をかけ、応援に応えると、ティーショットを約280メートル先のフェアウエーへ。プレーでも堂々の振る舞いを見せた。「マスターズで勝つことってすごいことなんだなと改めて思った」。声援が格段に増し、自らの偉業を再認識した。

世界ランキング3位のジョン・ラーム(スペイン)と、前回大会優勝者の康晟訓(韓国)で回る注目組だった。その中でも声援の大きさは別格。「ラームより歓声が多かったのはうれしかった。ギャラリーがマスターズで勝ったことを、毎ホール言ってくれるのもすごくうれしかった」。1日1万2500人を上限に有観客で開催されたが、松山の注目度の高さは顕著。タイガー・ウッズら人気選手につけられる警護が、この日は松山についた。

5番でバーディーパットがカップに蹴られるなど、出だしから5連続パーでスタートダッシュはならなかった。それでも6番パー4で、第2打を1メートル余りにつけて最初のバーディー。後半は10番から3連続バーディーとし、最終18番もバーディーで締めた。「パットが一番ダメだった」としながらも持ち前の正確なショットは健在。「スコアを伸ばさないと、すぐに予選落ちしそうな場所」と笑い、久々の実戦の緊張感を楽しむ余裕もある。次週の今年メジャー2戦目、全米プロ選手権(サウスカロライナ州)も予感が漂い始めた。