稲見萌寧(21=都築電気)が圧勝で20-21年シーズン6勝目、21年5勝目を飾った。18ホール最少ストローク・ツアータイ記録「61」から一夜明け、4バーディー、ボギーなしの68をマーク。通算15アンダー、129で2位との差を5打から6打に広げた。残り5週で決まる東京五輪代表争いは4番手だったが、米ツアーに出場する渋野日向子の結果次第で、代表圏の2番手に浮上する。日本ツアー最強女子の勢いが止まらない。

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最終18番のパーパットをタップインしようとして、稲見が周りに止められた。「もうお先だったんで…」。2位と6打差。今年は出場12戦5勝目。すっかり勝ち慣れた“最強プロ”は苦笑いで手を止めて、鈴木、永井の同組2人のホールアウト待ち、ウイニングパットを決め、お約束のように両手を掲げた。

隙がない。1番で5メートルのチャンスを決め、3番で10ヤードをチップイン。2位と5打差から出て、序盤で独走の流れを作った。「前半は何が起こるかわからないから気を抜かず、後半はノーボギーに目標を決めた」。6打差Vは、26戦目の20-21年シーズンで昨年9月ゴルフ5レディースの小祝に並ぶ最大差V。稲見自身もツアー通算7勝目で、4月フジサンケイレディースの3打差Vを上回った。

「私は完璧主義者」という。今週も月曜から練習漬け。競技中止の金曜もテークバックの上げ方が「気持ち悪い」とこぼし、キャディーを務めた奥島誠昭コーチ(41)の「もう帰ろう」との泣きが入って切り上げた。練習量は5日間で計25時間を超えた。

東京五輪代表の座もはっきり見えた。21年開幕直前、2月22日時点の世界ランクは63位。当時16位だった古江をついに逆転。当時13位だった渋野も逆転し、代表圏内の2番手に浮上する可能性がある。「五輪は出たいけど、ゴールじゃないので。ここで止まらず、勝ち続けたい」。黄金世代が小祝、原、大里の3人で稼いだ今季6勝を1人で稼ぐ。それでも、稲見の完璧にはほど遠い。【加藤裕一】

稲見萌寧の優勝クラブ

▼1W=キャロウェイ マーベリックサブゼロ(シャフト=USTマミヤ ジ・アッタス5、硬さS、ロフト10・5度)▼FW=ダンロップ スリクソンZX(3W15度、5W18度)▼ユーティリティー=ブリヂストン TOUR B JGRハイブリッド(4U22度、5U26度)▼アイアン=5I~PW=テーラーメイド P770▼ウエッジ=タイトリスト ボーケイSM8 52-08F(52度)、同SM8 58-08M(58度)▼パター=テーラーメイド トラスTB1▼ボール=ブリヂストン TOUR B XS