東京オリンピック(五輪)で銀メダルを獲得した稲見萌寧(22=都築電気)が、高い対応力でまずまずのスタートを切った。2バーディー、ノーボギーの70で回り、2アンダーで16位。東京五輪との気温差や芝の違いなど、環境の変化に耐えながら修正した。賞金ランク首位の小祝さくらが、8バーディー、ノーボギーの64をマーク。8アンダーで単独首位発進した。

歓喜の銀メダルから6日後。何もかもが違うコースで、稲見の新たな戦いが始まった。30度を超す五輪会場から、16度の強い雨が降る軽井沢へ。寒さでボールが飛ばず、第2打の距離が残ったり、ドライバーなどの打面が雨で滑ったり。そんな苦しい状況下でも、我慢強く戦った。

「結構シビアなパーパットが何回かあって、そこを全部決められたので良かった。練習グリーンとコースのスピードも違っていて、最初はめちゃくちゃ(パッティングが)オーバーした。もう少しコースでの対応力をつけないと」と反省を口にしたが、苦しみながらも五輪銀メダリストの高い対応力を見せた。

五輪会場の強く密集した芝から、今回の軽井沢72は、ふかふかのベント芝(洋芝)。「対応できなくて、イメージがわかなかった」と言いつつも、コースを回りながら修正していった。2番パー5で3メートルのパーパットを何とか決めると、続く3番パー3で最初のバーディー。後半も苦しい場面を耐えながら、バーディーを1個取り、ノーボギーで締めくくった。

スタートの1番では「五輪銀メダリスト」と紹介されたが、すでに頭は切り替えていた。海外志向の選手が多い中で、珍しく国内ツアー主体で戦う意思を変えない。「おめでとうと言われても銀は2番目だよなと思うと悔しい」。3年後のパリ五輪は国内主体で戦う稲見にとっては「(出場は)厳しい」が、東京五輪出場権も国内ツアーの成績だけで勝ち取った。国内ツアーで絶対的な力を身に付ければ、パリでリベンジも夢ではない。【桝田朗】