代名詞の笑顔に涙を加えて、強いしぶこが帰ってきた! 渋野日向子(22=サントリー)がプレーオフの末に逆転で、19年11月の大王製紙エリエール・レディース以来、約2年、686日ぶりの復活優勝を果たした。

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優勝の裏で、渋野は恩に報いたい人が2人いた。1人は、今年4月に他界した前所属のRSK山陽放送桑田茂社長だ。19年のAIG全英女子オープンで、日本人2人目のメジャー優勝を果たす以前。高校生のころから、岡山出身の渋野を支援していた。「いつも笑顔で『やりたいようにやればいい』と言ってくださって…。なのに自分はなんて情けないんだろう」。サントリーへと所属変更しても、変わらず応援してくれた。「RSK」と刺しゅうされたクラブのヘッドカバーは「自分は1人じゃないと思わせてくれる。ただのヘッドカバーじゃない」と、この日も力に変えていた。

もう1人は、この日が誕生日の田谷美香子マネジャーだ。マネジャー業だけではなく、宿泊先では栄養バランスを考えた料理を用意し、身の回りの世話、元ゴルファーの経験を生かし、キャディーも務める。「家族よりも一緒にいる。感謝しても、しきれない。『誕生日プレゼントは優勝で』と言われていたのでよかった。田谷さんの年齢はナイショ」。2人について話すと、涙ぐんだり大笑いしたり。感謝の思いの大きさを示すように、感情をさらけ出した。【高田文太】