国内男子ゴルフツアーでチャン・キム(31=米国)が、次戦にも初の賞金王に輝く可能性が出てきた。

21日まで宮崎・フェニックスCCで行われた、ダンロップ・フェニックスで通算7勝目、昨年と統合された今季としては3勝目。次戦のカシオ・ワールドオープン(25~28日、高知)で連勝となれば、約1184万円差で賞金ランキング2位の木下稜介らの結果次第で、1試合を残して頂点に立つことになる。

最大の強みは、ツアー屈指の飛距離だ。16、17、19年のドライバー平均飛距離はツアー1位(18年は相次ぐ故障の影響で、国内ツアー出場はマッチプレーで争った1試合のみ)。今季は平均313・13ヤードの幡地隆寛に1位の座を譲っているが、2位の307・48ヤードを誇る。実は今年の国内初戦、東建ホームメイト・カップが行われた4月から、7カ月余りで15キロの大幅減量に成功。その中でも、ほぼ変わらない飛距離を維持している。その減量方法が、意志の強さ、ストイックさを物語っており、容易にはマネできないもの。優勝会見では、ダイエット方法を明かしていた。

キム 断続的な断食なんですけど、午後1~7時の間しか、食事を取らないダイエットをしています。午後1~7時以外は水、コーヒー、紅茶しか飲まないです。体重が増えるとケガが重なってしまうし、疲れもたまりやすくなる。毎週プレーするので、しっかりコンディションを整えて、健康に過ごせることが大事だと思ってダイエットを始めました。今年はじめの東建(ホームメート・カップ)の時は112キロで、3日前に量ったら97キロ。なので15キロ落としました。

就寝前に空腹感を覚えても我慢し、さらに翌朝起きた後もすぐには食事を取ることができない。コロナ禍で、外食しようにも午後8時に閉店という店がほとんどだったとは思うが、友人と酒を飲んだり、食卓を囲んだりといったことも困難な時間設定。それでも「これをやっていると、寝覚めが良くなるし、体の調子が良いのを感じる。特にスイングが変わったイメージはないけど、自分のエネルギーを1日保つことができる」と、効果の大きさを実感している様子だ。

将来的な夢があるから、ストイックにもなる。15年から日本を主戦場とし、今年で7年目。日本ツアーで戦う理由についても、明確な答えが返ってきた。

キム (国内ツアーは)賞金的にも、ワールドランキング的にも世界で3番目のツアーだと思う。自分にとっては世界ランキングが大きい。(米下部の)コーンフェリー・ツアーに参戦して、PGA(米)ツアーを目指すことも考えたが、日本ツアーでプレーしていれば、世界ランキングのポイントも稼ぐことができる。(現在、世界ランキング63位で)次の目標としては世界ランキング50位以内を考えています。世界ランキングの上位にいれば、メジャーやWGC(世界選手権シリーズ)などに出場できて、いろんなチャンスが広がる。(日本は)魅力的なツアーだと思っています。

随所に日本への愛情、メジャーなどへの思いをにじませた。ゴルファーのあこがれの舞台、マスターズ出場資格の目安、年末時点での世界ランキング50位以内も見えている。おそらく空腹が最高潮と思われる、午後4時ごろの優勝会見も終始笑顔。188センチの大きな体以上に、意志の強さ、ゴルフへの情熱に、スケールの大きさを感じた。【高田文太】