田中勇人(40)吉川拓哉(43=ともに伏尾)組が通算11アンダー、133でコンビ結成初優勝を飾った。6アンダーの単独首位スタートから7バーディー、2ボギーの67をマーク。現在では個性的になった「水平スイング」の田中と、オーソドックスな吉川のゴルフがかみ合い、逃げ切った。辻田晴也・井坂直樹組はこの日のベストスコア66の猛チャージを見せたが、1打差2位。8位タイまでの上位15組が来年度決勝大会のシード権を獲得した。

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前半アウト31と5つスコアを伸ばし、後半インはパープレー。田中・吉川組が逃げ切った。2つのキーホールがあった。田中が「そこでした」というのは、前日から23ホール目で初ボギーを喫した直後の6番パー5だ。吉川が6メートルのスライスラインを先に打ち、ほぼ同じラインの田中が2・5メートルのバーディーパットを沈め、バウンスバック。流れを戻した。吉川が「勝利を確信した」のは16番パー3。弱ければカップ前でタレる3メートルの下りスライスをしっかりヒット、バーディーを奪った。1打差逃げ切りの“決勝点”になった。

見事にかみ合った2人が全く違うスイングの持ち主だから、おもしろい。

フィニッシュまでしっかり決める吉川は43歳にしてなお、今風で若い。一方で思考は大人の落ち着きを感じさせる。好きなプロは手嶋多一。「昔からいくつになっても淡々と、自分のスタイルを貫き通す。人柄の面でもああいうゴルファーになりたい」。今年の日本シニアオープンで優勝しながらもレギュラーツアーにこだわり、ファイナルQTに挑戦中の53歳に憧れる。

3歳下の田中は逆に、古風なスイングを貫く。べた足のクローズスタンスで、肩、腰、クラブを平行に回転させる「水平打法」。日本オープン、日本プロともに2勝など60年代から活躍したレジェンド橘田規の流れをくむ。「周りからいつもいろいろ言われますけどね。アマチュアでこのスイングにこだわる人もいないし、僕が…」という。

ともに京都で学生時代を過ごし、ゴルフの縁は始まった。初コンビで臨んだ大会で優勝。「いや~楽しかったです」。田中と吉川は口をそろえ、笑みを浮かべた。【加藤裕一】

 

◆田中勇人(たなか・はやと)1981年(昭56)6月22日、京都市生まれ。ゴルフは中学からで京都学園高、京産大でゴルフ部。ドライバー飛距離は約270ヤード。尊敬するプロに中田慶史郎、奥田靖己。174センチ、78キロ。ハンディ0。

 

◆吉川拓哉(よしかわ・たくや)1978年(昭53)11月10日、東大阪市生まれ。ゴルフは中学からで、大阪桐蔭高、立命大でゴルフ部。ドライバー飛距離は約260ヤード。好きなプロは手嶋多一。171センチ、78キロ。ハンディ+1。

 

○…辻田・井坂組は今年も優勝に届かなかった。5年連続出場で過去4年は4、3、10、5位。そして今年がキャリアハイの1打差2位だ。バックナイン32でベストスコア66と猛チャージしたこの日、7バーディーの内訳は28歳辻田が4個、45歳井坂が3個。「今日はお互いに頑張れたんですけどねえ」と辻田が言う。結果的に痛恨のホールが2つある。2人ともに3パットでボギーとした8番。チャンスホールの最終18番パー5では辻田が2オン、井坂が3オンでともにバーディーチャンスを作ったが、プレーオフに持ち込めなかった。来年こそ頂点だ。

 

〈主催〉日刊スポーツ〈後援〉関西ゴルフ連盟〈協賛〉ブリヂストンスポーツ〈協力〉ABCゴルフ倶楽部