女子ゴルフの渋野日向子(23=サントリー)が、3月3日にシンガポールで開幕するHSBC女子世界選手権で、米ツアー本格デビューすることが有力となった。22、23日に行われる新人研修「ルーキー・キャンプ」への参加義務がなくなったことが18日、米女子ツアー(LPGA)関係者の話で判明。現在は日本で調整中だが、今月中に渡米する必要がなくなった。米国での開幕から3戦は現時点で出場資格がない。出場ゼロで帰国後、新型コロナウイルス感染症対策の10日間隔離だけ課される最悪のケースを避け、腰を据えて3月に照準を合わせる。

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渋野の2022年は、東南アジアで幕を開けることが確実な状況となった。当初、義務付けられていた米国でのルーキー・キャンプの参加が、自由となったと判明。関係者は「covid-19(新型コロナウイルス)の影響。無理に参加する必要はない。ビデオ研修で代用可能」と明かした。別の関係者によると当初、今月中旬の渡米を予定していたが現在は白紙という。国内での調整を約1カ月延長し、3月の東南アジア2連戦を目指すとみられる。

今季のLPGAは20日の開幕戦から、3週連続米国で開催される。だが現時点で渋野は3戦全て出場資格がない。新人はルーキー・キャンプと重なるため、開幕戦の出場資格はなし。さらに出場枠が空けば出場できるウエイティングで、渋野は2戦目が8番目、3戦目が5番目と、この日までに判明。会場で待っても出場できる保証も、マンデートーナメントで少ない出場枠を勝ち取る保証もない。開幕3連戦後は約1カ月、試合がないが、出場ゼロのまま帰国すれば、10日間の隔離生活で実戦感覚も体力も衰えていくのは必至だ。

昨年は4~6月に3カ月間、出場権を持つメジャーと、スポンサー推薦でスポット参戦を続けた。だが出場試合は“虫食い状態”。「試合数をこなしたい」と実戦感覚を求め、7月以降は主に国内ツアーに出場した。タイは日本企業のホンダが冠スポンサーとあり、昨年に続いて推薦出場が確実。シンガポールは出場枠70人程度の狭き門だが、メジャー優勝経験者の肩書は推薦出場を後押しする。

マネジメント事務所は、渋野の予定について「未定です」と話すにとどめた。東南アジア2連戦後は、出場枠が開幕2、3戦目よりも24人増え、144人の試合が続く見通し。最終予選会を7位通過の古江彩佳が2、3戦目の出場権を得ているだけに、同20位だった渋野の出場権獲得は間違いない。くしくも国内ツアー開幕戦のダイキン・オーキッド・レディース(沖縄)と同じ、3月3日を目指す流れ。むしろ例年通り、国内で当初の計画よりもプラス1カ月、じっくりと調整できることになりそうだ。

◆LPGAの出場選手枠 開幕戦のヒルトングランドバケーションズ・チャンピオンズは、過去2シーズンの優勝選手らしか出場資格がなく、今年は畑岡奈紗や笹生優花ら29人で争われる予定だ。同大会から米フロリダ州で3週連続開催され、2、3戦目はともに120人が出場予定。その後は約1カ月大会がなく、シンガポール、タイで連戦となる4、5戦目はともに70人程度が出場する見通し。米国に戻る6戦目からは、昨年実績では144人出場の大会が続く。その後も、メジャー5大会を除くと、130人以上で争う大会が大部分を占める。今季は全34試合を予定している。