プロ11年目の岸部桃子(28=塩田建設)がツアー自己ベストの67を出し、通算8アンダーでホールアウトした。

福島県いわき市生まれ。第1日が東日本大震災発生から11年だった大会を5バーディー、ボギーなしで締めた。67を自己ベストかと問われて「はっ! そうですね。それとノーボギーだったのがうれしいです。今週は特に頑張りたかったので」と声を弾ませた。

2011年3月11日午後2時46分、富岡高2年生で授業中だった。校舎は大きな被害を受けた福島第一原発近くで、今も警戒区域として立ち入ることはできない。いわき市内の実家は全壊判定を受け、近くに家を建て直した。

翌12年プロテストで合格した。「プレー中、めげそうになっても、ゴルフができることに感謝して前向きになれます」。下部ツアーで経験を積み、20-21年シーズンは自己最多のツアー18戦に出場、昨年ヨネックスレディースで初のトップ10となる4位も記録した。QT22位となり、今季はツアー前半戦の出場権を手にした。

今大会の3日間を「昨年ツアーで経験して“これじゃあダメだ”と思った部分をオフに集中して頑張った。今週はその成果が出たと思います」と言う。飛距離アップ、ショートUTの精度向上、パー5でのバーディー数アップ。やってきたことが間違いなかったと感じられた。

プロテスト合格時は44キロしかないやせっぽちが、今では57キロに。「必死に食べました。お昼にお弁当を2個とか。最初は苦しかったけど、今は胃が大きくなったのか、周りに“めちゃくちゃ食べるね”と言われます」。プロ合格から一気に飛び出す若手が多くなった時代に、1歩ずつ階段を上る。「まずは(前半戦終了時の)リランキングを意識して、シードを取りたいです」。岸部がうれしそうに言った。