公共交通機関や閉ざされた空間で不安を感じる「広場恐怖症」を抱える菅沼菜々(22=あいおいニッセイ同和損保)が4バーディー、ノーボギーの68で回り、首位に1打差の3位で発進した。

「春っぽさを意識した」という黄色のスカートに同色のリボンを髪につけた。強風は「大変でした」と振り返りながらも、着実にスコアを伸ばしてボギーなしで回った。「オフに100ヤード以内の練習をすごいしたので、バーディーが取れたと思う。5ヤード刻みで30球ずつです。それがためになりました」。地道な練習の成果が少しずつ結果にあらわれている。

18年にプロテストに合格。「広場恐怖症」は高校2年ごろに発症していた。飛行機や電車、船に乗れず、移動手段は車だけ。「ヘリコプターにも乗れません。プロテストが本州で良かった」と周囲に気を使わせないように明るく説明した。「サービスエリア(SA)にめっちゃ詳しくなりました。ここはご飯がないとか、(関東から)兵庫くらいまでは分かります。(愛知県)岡崎のSAは広いし、スターバックスがあっていいです」。「移動時間が長いのはきついですね」としながらも、楽しみを見つけながら転戦している。

前週大会が行われた宮崎を出た後、途中の広島に1泊して静岡入りした。「練習は質良く量少なめです」と、長いツアーを戦うコツはしっかりつかんでいる。

第2ラウンドに向けては「今日はパーオン率が悪かったので、外すなら手前でいけるようにしたい。手前、手前で頑張りたい」と課題も口にした。修正しながら、初優勝に向けてまずは好位置をキープした。【近藤由美子】

◆広場恐怖症 「広場」という名称こそついているが、広い場所を恐れる病気ではない。学校や会社といった広い場所だけでなくトイレや電車、バス、エレベーターなど閉ざされた狭い場所でも、パニック発作が起こるかもしれないと、強い不安や恐怖を覚える症状。治療法は、不安を抑える「抗不安薬」の服用。医師や専門家と一緒に、実際にその「嫌な」場所に行き「ここにいても、無害なんだ」「電車に乗って何が怖いんだ」と意識を変えていく「暴露療法」もある。

○…今季第3戦最終日に6連続バーディーの猛チャージで優勝争いに加わり、一躍注目を集めた内田が6バーディー、2ボギーの68で、菅沼らと首位に1打差の3位につけた。第3戦後の反響を「(地元の北海道)南幌町(なんぽろちょう)も大騒ぎです」と笑顔で明かした。一時単独首位に立ちながらも、15番にOBで4位に終わった。指導を受ける中嶋常幸に電話をかけ「1打を悔やむな」と励まされたという。「その通りだと思いました」とアドバイスをかみしめていた。