【オーガスタ(米ジョージア州)9日=高田文太】2位から出た松山英樹(LEXUS)が、5つ落として14位に後退し、史上4人目のマスターズ連覇は極めて厳しくなった。2バーディー、5ボギー、1ダブルボギーの77で回り、通算2オーバー、218。首周辺の痛みによる1カ月の離脱からの復帰戦で、寒さと強風に見舞われ、対応が遅れた。9アンダーで首位のスコッティ・シェフラー(米国)とは11打差となった。

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出だしの1番パー4で、1メートルのパットを外してボギー発進してから、松山の歯車が狂い始めた。5番パー4では、コロナ禍で11月に開催された20年の最終日以来、マスターズで2大会ぶりにダブルボギーをたたいた。バンカーから脱出後、ピンまで103ヤードの第3打はグリーンに着弾。だがわずか数十センチ弾道が低く、傾斜を越えられず、戻される形でグリーンからこぼれ落ちた。18ヤード残った第4打はパターで打ったが、急激に上った後に下る難しいラインで打ち切れず、5メートル残してボギーパットも外した。

「あまり昨日(第2ラウンド)までとゴルフは変わっていないけど、ちょっとしたことで、ここまでスコアが変わってしまう。やっぱり難しいなと思う」。出場11度目でも、昨年は優勝していても、オーガスタ・ナショナルGCは難攻不落だった。5つ落とす77は、マスターズでは12年最終日と14年第1日の80に次ぐ、ワースト3番目となった。

この日の気温は、今週の大部分の日よりも10度以上低く、最高気温10度と急激に冷え込んだ。加えて強風で、時間帯や場所によっては体感温度は0度前後。伸ばしたのは9人だけという難しい条件だった。松山の場合、首周辺の痛みで最近は欠場や棄権続き。第3ラウンドを戦ったのは約1カ月ぶりだった。実戦感覚を取り戻しきれず、疲労感だけが蓄積された。その中で寒さと強風に見舞われた。

それでも前を向いた。ダブルボギーの5番は「残念ですけど、明日に向けて切り替えてやりたい」。寒さで感覚が鈍り、苦しんだパットも「最後に(18番で2メートル近い)いいパーパットが入ったし、明日に向けて頑張りたい」。寒さも「服を着れば問題ない」と言い訳しなかった。

連覇の可能性は極めて低くなったが「1つでも伸ばして、いい順位で終われるように頑張りたい」と、最後まで前向き。ディフェンディングチャンピオンの誇りをかけて、最終日の巻き返しを誓った。