石川遼(30=CASIO)が、日米両ツアー通算5個目のホールインワンを決め、首位と5打差11位の逆転V圏に急浮上した。首位と8打差48位から出て、7番パー3で達成した。生涯2度目の“全18ホール・パー”だった第2ラウンドから一転、第3Rはベストスコアタイの64。10年大会最終日に伝説の「58」をマークした「和合」で、楽しみな最終日を迎える。

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182ヤード先のピンにボールが消えた。コロナ禍でマスク姿のギャラリーからさすがに歓声が上がった。「入ったのは見えました。ベタですけど“あー、うれしい”って思いました」と石川が笑った。

終盤7番パー3。右からのフォローを感じ、8番アイアンを振り抜いた。

「届かないと思った。奥ピンだったんで、グリーン奥にはこぼしたくない、ミスしても手前でと…。だから“止まってくれ”と思ったんです」。

ところが、球は伸びた。思ったより4、5ヤード先にキャリーした球が約5ヤード転がり、ジャストインした。

国内ツアーでは11年11月三井住友VISA太平洋第3R以来、米ツアーも含めれば、15年7月クイッケンローンズ・ナショナル第1R以来6年9カ月ぶりのエースだ。

降雨順延を免れ、29日に完了した第2Rは“全18ホール・パー”で70。そんな生涯2度目の珍事から一夜明け、別人のようなプレーだった。1イーグル、5バーディー、1ボギーの64。19年9月パナソニックオープン第2Rの62以来のビッグスコアだ。

「良くも悪くもスコアって、本当にコントロールできないもんだなと」。笑いながらも不思議そう。まだ確信がない。「充実感は確かにあります。かなりよくなりつつあるなと。でも“本当のスコア”につなげるには、他の要素がありますから」。それが、20年春から取り組むスイング改造に対しての実感だ。

しかし、やはり“普通の人”ではない。通常ワンウエーが伝統の大会で、第2Rの順延が発生したため、第3Rはアウト、イン両スタートのツーウエーになった。その“裏街道”で48位から出て、猛チャージ。最終9番パー4は残り60ヤードの第2打がグリーン上の金庚泰の球に当たり、ピン奥80センチに止まり、バーディーで締めくくった。

「スピンは効いていたはずですけど、当たってなかったら、グリーンを出ていたかもしれない。ラッキーでした」。帰って来た劇場型ゴルフ。「当然、緊張とワクワクが高まる位置です。その中でどういうゴルフができるのか? 楽しみにしています」。12年前、18位から出て丸山茂樹との6打差を「58」で逆転した最終日。同じコースで、今度は5打差逆転に挑む。【加藤裕一】

◆石川遼のホールインワン 過去に国内ツアーは10年パナソニックオープン第2R6番ホール、11年三井住友VISA太平洋第3R17番ホールで達成。米ツアーでは13年プエルトリコオープン第3R8番ホール、15年クイッケンローンズ・ナショナル第1R4番ホールで達成。石川によると、日本プロの練習ラウンドでも1度達成したが、プライベートでは1度だけ。「昔、正月に小平さんと一緒に回って、250ヤードのパー3で決めました」。

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