2位と1打差の首位でスタートした青木瀬令奈(29=フリー)が、ツアー通算3勝目を挙げた。

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コース内外での“勘の鋭さ”が青木瀬令奈の最大の特徴だ。多くのプロとは違い、練習と本番を完全に別物と切り離している。象徴的なのは、練習と試合で使うパターが全く違うこと。多くの選手は試合で使うためのクラブに慣れ、練習を重ねてうまくなるが、青木は「あえて感覚を鈍らせる」と試合で使うパターとは形状、シャフトの長さ、重さ、何よりも打感など、全く異なるものを練習で使う。

「慣れが出ると『果たして合っているのか?』と思い始めちゃう。同じ位置にボールを置いて、同じ体重のかけ方で打っても『何か違う』と思い続ける方が気持ち悪い。それよりは1度リセットして違う感覚を入れた方が、逆にエース(パター)を新鮮に打てる」と説明する。新しいクラブを使うように、慎重に打つ方が合っているという“超感覚派”だ。「結局、試合でうまくいくことが大事」と、このスタイルを貫く。

取材でも“勘の鋭さ”は際立っている。第1日が最高36.1度となるなど、今大会は猛暑に見舞われた。夏の暑さで有名な館林市と同じ群馬県の前橋市出身だけに「暑さは得意です」と切り出した。さらに「小中学生のころ、夏場にエアコンが壊れても、ずっと群馬の暑さに耐えましたからね」とニヤリ。好スコアの一因を、分かりやすく説明していた。【高田文太】

◆青木瀬令奈(あおき・せれな)。1993年(平5)2月8日、前橋市生まれ。名前は、両親が音楽家で「セレナーデ」から。ゴルフは7歳から。前橋商高卒業後、11年にプロテスト合格。15年に賞金ランキング27位で初シードを奪取。20年から日本女子プロゴルフ協会で選手会長的なプレーヤーズ委員長に。宝塚歌劇ファン。153センチ、50キロ。

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