3週間前に約2年11カ月ぶりに優勝した石川遼(31=CASIO)が、最終戦での今季2勝目へ、首位と3打差と好位置につけた。

5バーディー、3ボギーの68で2アンダー。順位こそ12位だが、稲森佑貴ら3人が並んだ首位と3打差発進は、優勝した19年と同じ状況となった。今大会は過去12度出場で2度優勝。ともに第1ラウンド(R)で、首位と4打差以内から逆転した。この日は終盤に巻き返し、逆転優勝へのムードも高まってきた。

    ◇    ◇    ◇

気力の充実ぶりを示すように、序盤で力強いガッツポーズが飛び出した。514ヤードと距離の長い4番パー4。石川はティーショットを右ラフに入れ、第2打はグリーンに届かず、第3打のアプローチも寄せきれなかった。それでも4メートルのパーパットを決め、右手を握り締めた。「難しいホールで3つミスが続いても、気持ちを切らさずにできた。2オン2パットでも3回ミスが続いても同じ『4』。大きかった」。勢いがつくと確信できる1打だった。

事実、直後の6番パー5の第3打、7番パー4の第2打を2メートルにつけて連続バーディーを奪った。1番でティーショットを左隣の10番フェアウエーまで大きく曲げ、ボギー発進した不穏な空気は消えていた。終盤の16、17番でも連続バーディー。最難関の18番パー3は、ティーショットを4メートルのチャンスにつけた。バーディーパットはカップに蹴られてパー締めながら「悔いはなし。16、17番で(バーディーを)取って最後がパー。非常にいい上がり方」と、手応えは十分だ。

上昇ムードをデータも後押しする。今大会は過去2度優勝で、ともに第1Rで首位と4打差以内からの逆転。過去12度の出場で、第1Rで首位と4打差以内は6度あり、うち5度はトップ5入りしてきた。今年も優勝争いに絡む可能性は高い。「すごく好きな大会。最終日に優勝争いできるように必死でやりたい」。前日11月30日は、明言を避けていた「優勝」という目標を、はっきりと口にできるほど自信も戻ってきた。

3週間前に約2年11カ月ぶりの優勝を果たした。前日には「調子は悪くない」と、好調維持と自己分析。加えて4番のパーパット、16~18番の内容と勢いが加速する要因は事欠かない。「これ以上、いいスコアは望めない」。何よりも姿勢が前向き。一段と復活を印象づける、今季2勝目が近づいてきた。【高田文太】

○…前週、今季の賞金王に決定した比嘉は、16位発進となった。1バーディー、ボギーなしの69で1アンダー。前週終了時点で、賞金ランキングで2位の星野に約7000万円の大差をつけた。今大会で優勝して賞金4000万円を獲得すれば、73年のツアー制施行後で初となる、シーズン獲得賞金2億2000万円を突破。賞金王を決め「少し解放されたというか」と心境の変化を口にした。一方で「ノーボギーはよかった。でも出遅れた。(第2R以降で)ベストスコアを出さないと」と力を込めた。