石川遼(31=CASIO)が猛チャージでトップに浮上した。首位と7打差の5位から出ると、1イーグル、6バーディー、3ボギーの66をマーク。通算14アンダー、199で星野陸也(26=興和)とともに首位に立った。

スタートの1番から6番までパー。その後は一転した。7番以降の12ホールでパーは2回のみ。出入りが激しいゴルフになった石川だが、スコアを5つ伸ばした。「素直にすごくうれしい。コツコツと積み重ねているものや、練習してきたものが、ある程度数字につながっている」とうなずいた。

最終日は首位で並ぶ星野、1打差で3位ヘンドリーとともに最終組で回る。星野とは昨年11月、3年ぶり勝利を挙げた大会のプレーオフで熱戦を繰り広げた。「僕は順位よりも誰と回るかに興味がある。最終日の最終組、3日間の成績が良かった3人。緊張感も高まる中で、おのおののストーリーがありながらの最後の18ホール。これ以上ない楽しみ」と力を込めた。

石川自身はどんなストーリーを描くのか。「作家じゃないので、そこは分からない」と笑い飛ばしたが、すでにこの日も千両役者ぶりを発揮。12番563ヤード、パー5では、第1打を豪快に飛ばすと、残り216ヤードの第2打を5番アイアンでピン奥10メートル近くにつけ、1パットで沈めた。「11番でボギーのあと、完璧なショットを3つ続けてイーグルを取るなんて、描いていなかった。こんなことってなかなか起きない」。自身も驚くショットを次々と繰り出した。

国内ツアーでの最終日最終組はこれまで32回で優勝14回。今大会での最終日最終組は過去3回あるが、いずれも敗れた。自身初のツアー開幕戦勝利へ。スーパースターが、初戦からファンを魅了する。

◆石川遼の国内開幕戦 国内開幕戦として定着している今大会には過去9度出場して未勝利。最終日最終組は初出場の08年、11年、18年と3度あるが、18年の2位が最高成績。一昨年と昨年はいずれも予選落ちだった。1月に日本ツアーとアジアツアーの合同大会として開催されるシンガポール・オープンがツアー開幕戦となる年もあるが、その大会も制していない。

○…首位で出た細野はティーショットが安定せず、スコアを5つ落とした。8番パー4では第1打がOBでトリプルボギーに。続く9番パー4も第1打が大きく外してダブルボギーとなった。「冷静さがなかったかな。悪いなりにスコアをまとめる力もまだまだ」と反省。それでも首位とは3打差で、逆転の可能性を残す。「今日のことは、もうなかったことにする」。冗談めかしながら笑い、気持ちを切り替えた。

○…星野が8バーディー、1ボギーの64と大きく伸ばし、9打差12位からトップに並んだ。前日までに比べてティーショットの安定を好スコアの要因に挙げた。前年大会では優勝を争いながら3位だった。「今年はリベンジして開幕戦優勝を目指したい」と宣言。最終日では石川と最終組を回る。「めちゃくちゃ楽しみ。自分も良いゴルフをして盛り上げたい」と気合を入れた。