プロ6年目の菅沼菜々(23=あいおいニッセイ同和損保)が、ツアー初優勝を果たした。
首位から出て3バーディー、ボギーなしの69で回り、通算16アンダー、200。3打差2位から出た神谷そらに土壇場で追いつかれたが、初のプレーオフを2ホール目で制した。ペ・ソンウ(韓国)が3打差3位だった。
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菅沼に待望の瞬間が訪れた。プレーオフ2ホール目。「最後は手が震えた」という1・5メートルのウイニングパットを沈めて、右手を高々と上げた。出迎えた同期の稲見萌寧やコーチを務める父真一さんとハグ。笑顔が涙に変わった。優勝インタビューでは「ずっと悔しい思いをしてきましたが、やっと勝つことができて、今は夢のような気持ち」と再び笑顔をみせた。
昨季、トップ10入りはツアー5位の15回。年間ポイント8位と何度も優勝争いに加わりながらも初Vに届かなかった。同期や後輩が優勝を重ねていく。「(稲見)萌寧ちゃん、すごいなと思っていたし、私もと思っていた」。今オフは1つの番手で20ヤード前後の幅を打つ練習に取り組んだ。その成果が勝負どころで出た。
神谷に並ばれて突入したプレーオフ2ホール目。第2打でグリーンを外した神谷に対し、残り約127ヤードからの第2打を1・5メートルにつけた。「ぴったりではなく、ピッチングウエッジで少し抑える距離だった。すごい自信を持って打った」と勝負を決めるバーディーを呼び込んだ。
公共交通機関や閉ざされた空間で不安を感じる「広場恐怖症」と闘う。高校2年の時に突然発症した。今もオフなどに治療を行う。飛行機や電車、船に乗れず沖縄や北海道の試合に出られない。「北海道、沖縄には行けないハンディはありますが、ほかにも同じように病気に悩んでいる人がいる。そういう方に勇気を届けられたら」と話した。
万全ではなかった。開幕直前に左足小指を滞在先の部屋でぶつけて負傷。プロアマ戦を初めて欠場した。単独首位で迎えた最終日。「何度かの上位争いの中で気負っちゃう自分がいた。自分を見に来てくださるギャラリーの方に対し、私アイドル好きなので、アイドルになりきった気持ちでやり切れました」。最高の結果にアイドルばりのビッグスマイルを見せた。【近藤由美子】
◆広場恐怖症 「広場」という名称こそついているが、広い場所を恐れる病気ではない。学校や会社といった広い場所だけでなくトイレや電車、バス、エレベーターなど閉ざされた狭い場所でも、パニック発作が起こるかもしれないと、強い不安や恐怖を覚える症状。治療法は、不安を抑える「抗不安薬」の服用。医師や専門家と一緒に、実際にその「嫌な」場所に行き「ここにいても、無害なんだ」「電車に乗って何が怖いんだ」と意識を変えていく「暴露療法」もある。
◆菅沼菜々(すがぬま・なな)2000年(平12)2月10日、東京都生まれ。5歳からゴルフを始める。埼玉栄高在学中、17年日本ジュニア選手権で優勝。岩井姉妹は高校の後輩。18年7月プロテストに一発合格。乃木坂46のファンで“推し”は一ノ瀬美空。趣味は住宅展示場に行くこと。得意クラブはパター。家族は父真一さん、母ひとみさんの3人。158センチ。血液型AB。

